■ゆらゆら様に関する報告書■

ゆらゆら、ゆらら、ゆら……ら?

ああ、文字が動く。揺れる。言葉が崩れ、崩れ落ちていく。

なにかが、這い寄る。いや、這っているのは僕の意識か?


記憶も事実も、溶けていく。

はじまり、なにが始まったのか、はじまり。

ゆらゆら様の木の板はただの板ではない。板が僕の背中に刺さり、骨の奥にまで響く。


ゆらゆら。いや、ゆら……やら……ららら……

この世界は、揺れている。揺れて、揺れて。

筆は、勝手に走る。僕の手はもう僕のものじゃない。

ゆららゆらゆらゆら……


あの日の屋敷。あの地下室。あの洞窟。あの本堂。

あれは夢か、現か?境目がない。

ゆらゆら様は僕の中で呼吸し、僕はゆらゆらの中で溺れている。


はじまらない、終わらない。

ゆらら、ゆらゆら、らららら……


これは、呪いか、贈り物か。

僕はもう、この揺らぎから逃れられない。

筆は止まらず、文字は崩れ、言葉は霞み。

ゆらゆら様が、ここに、僕に、在る。


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