第6章 かがみよ、かがみ、かんがみよ(8)
30秒ぐらいの間、キョージュは目を細めて何かぶつぶつ言っていた。それからまた私の方に向き直る。
「——たぶん、多少効果はあるとは思う。けど、老婆心ながら言わせてもらうと、そういうのは、あまり頼らない方がいいと思うよ」
「えー。でもメンタル美人になりたいしなー」
キョージュは困った顔で次の言葉を選んでいる。
「メンタル美人、ね。そんなに気にする必要ないと思うけど」
「そうは言ってもさー。内申点とか就活で有利になるとか言われたらやるしかないじゃん。私、そんなに良くないし。メンタルランクも……成績も」
私の心海スコアランクはいつもCだった。真ん中で平均的と言えばそうだけど、せめてBは欲しい。勉強の成績の方は……個人情報だから秘密。
「勉強の方を頑張ったら?」
ど正論すぎてぐうの音も出ない。
「がんばってはいるんですぅー。その上で、できることは全部やりたいんですぅー」
「その姿勢は偉いけども……」
何事も努力すること自体は悪いことじゃない、はず。その方法が間違っていたら元も子もないけど、それでも、それが間違いかどうかはやってみないと分からない。
頭のいい人は先に考えて、正しい道を選べるのかもしれない。でも、私にはそれは無理なのだから仕方ない。
出来ることをやるしかない。だから、やれることはやりたいのだ。
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