第6章 かがみよ、かがみ、かんがみよ(4)
こんなにメンタル美人が注目されるようになった1番のきっかけは、とある会社が採用時の募集要件の中で心海スコアの提出を求めることにしたからだ。
その会社が言うにはあくまで参考値で、別にスコア次第で優遇するとかではないらしいけど、わざわざチェックするということはそういうことなんだということは私でも分かる。
そこからは、スコアが高いほうが就職に有利だとか、結婚相手にはスコアを重視しろだとか、凄まじい勢いでスコア至上主義な考えが世間に広まっていった。
ネットで少し調べるだけで、スコアを上げるためにどんな生活をするべきとか、メンタル美人になるための食事みたいな本当かどうかもよく分からない情報がわらわら出てくる。
スコアの判定方法が分からないから、いろんな人があらゆる手段を試して、どうにかしてスコアを上げようと必死だ。
私としても、内申点にも影響すると聞いて他人事ではない。来年には三年生になり、本格的に高校受験に取り組まねばならない。考えるだけでMenDACoが光り出すレベルで嫌すぎる。
嫌だけど、人にはやらねばならぬ時があるというものだ。やる時はやる女だよ、私は。
だからまずは、私もメンタル美人とやらを目指すことにした。勉強から目を逸らしてるとか、そういうのではないので、断じて。勘違いしないように。
ナルキくんの配信では視聴者から集まった様々なメンタル美人のための方法が紹介されていく。
ウォーキング。納豆。ヨガ。日光浴。マヌカハニー。その他いろいろ。
いかにも「ザ・健康」といったラインナップが続く。身体には良さそうだけど、果たしてどれだけ効果があるのやら。
「たくさんの情報ありがとう。どれが一番効果あるんだろう。あ、そういえば、こんなの知ってる?」
収集結果を一通り紹介し終えたところで、ナルキくんがそんな風に話し始めたそれは、初めて聞くものだった。
「
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