旅路の果てに

妖怪が見える少年、奈月悠真。普通の人には見えない妖怪を見ることができる彼は、日々妖怪たちに振り回され、時には命を狙われていた。そして家族や周囲が巻き込まれることを恐れ、他者との関わりを避けて孤立していた。
ある日、学校で近づいてきた妖怪を追い払っていると、突然目の前で人が転落した場面に遭遇する。転落し、血を流して倒れていたはずのその少年は、不気味なほど何事もなかったかのように起き上がり、怯えたような顔で悠真を見ると、ふらりと立ち去ってしまった。妖怪の幻による悪戯だと考えようとしたものの、その少年の姿は強く残り、忘れられなかった。
その日の夜、父・和真の再婚が決まる。新しい母となる紗倉詩織には連れ子がいた。紗倉親子と初めて対面し、悠真は息を飲む。詩織の連れ子である柊は、まさにあの日、目の前で転…続きを読む