高持女子高生徒会

ほし

第1話「有名な二人」

いつもと変わらない通学路、いつもと変わらない学校の校門を通り校舎に向かう自分。


その途中校舎の玄関の前も、いつもと変わらない自分と同じ一年生の生徒や二年生の生徒、さらに三年生の生徒までもが学校で有名でみんなの憧れの的である、生徒会長の周りを囲んでいた。


高持女子高の生徒会長は、とっても美しく長くてさらりとした黒い髪で、何でもできて、みんなから憧れの存在であった。


だけど、私は違った。




どう違うのか、お昼休みにまた友達であるさつきに聞かれた。


また、と言うのは前にも何度も同じことを聞かれて、同じ答えを言っていたからだ。




「ねぇ、どうして麻友は憧れの生徒会長に目もくれないで、生徒会長の後を追わないの?普通、生徒会長を見たら追いかけて、私達と同じように生徒会長の周りを囲むのに」




同じ質問に、私ははぁと軽くため息を付いて、同じことを言った。




「だから、いつも言ってるでしょ。私は、生徒会長に興味ないって。それに、生徒会長みたいに美しい人や何でもできる人は、世界中にたくさんいるでしょ。生徒会長だけが、すべてじゃないんだから」




「それは、そうだけど・・でも、生徒会長ってその世界中にたくさんいる人以外のひきつけ寄せられる魅力を感じるのよ。何か、生徒会長ってすごいと思わない?」




生徒会長のどこがそんなに良いのか、私は何度も思った。


普通と変わらない同じ人間で、ただ何でもできる、それだけであった。




「魅力ね〜、もしかしてさつきは生徒会長に恋をしているとか?」




「してるわけないでしょ」




さつきは笑いながら答えた。




「私は、Loveじゃなくて生徒会長に対してはLikeなの。それに、そっち方面の恋愛なんて考えたことないわ」




「だよね」




私も、恋愛をするなら異性同士の方がいいと思った。


いいと言うより、普通の誰もが思うことであった。


その時までが。




「うん、それより生徒会長も人気で有名だけど、麻友も人気なの知ってた?」




さつきがいきなり言ってきたので、私は驚いた。




「え?!私が。全然知らなかった」




「そっか、聞きたい?」




「うん、聞きたい」




どういうことで人気なのか、私は知りたくなった。


私は、そんなに生徒会長みたいに何でもできるわけないし、頭もよくない。


どうして人気になるのか。




「麻友って今さっきも言ったように、生徒会長に目もくれないし、追いかけないでしょ」




「うん」




「それでよ」




「え?それでって?」




「この学校で、生徒会長に目もくれないから人気なのよ。まぁ、人気というより珍しいのかな」




「ふぅ〜ん、そっか。珍しいって、私珍獣みたいじゃん」




私がそう言うと、さつきはまだ話があるのか続けた。




「みたいじゃなくて、本当に麻友は珍しいよ。それと、他の生徒がこんなこと言ってたんだけど」




「何々?」




「人気者同士が付き合ったら、もっと有名になって憧れるよねとか」




人気者同士が付き合うと聞いて、私はもしかしたらと思い、さつきに聞いてみた。




「それって、もしかして・・」




「うん、生徒会長と麻友だよ。でも、ただ話しているのを聞いただけだから。それに、そんなこと起こるわけないでしょ。麻友はノーマルだし」




「当たり前じゃん。もぉー、さつき」




私はさつきとじゃれあった。


その時まで、私は生徒会長と関わることすらなかったのに、次の日から予想も付かない大変な毎日になってしまった。


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