パティシエール見習いミエルと魔法のスイーツ

風葉

プロローグ 思い出のショーケース

「いらっしゃいませ! ようこそ、『パティスリー・レーヴ・アンフィニ』へ!」


カラン、とドアベルが軽やかな音を立てると、私はカウンターの中から満面の笑みでお客様をお迎えする。私の城であり、夢の結晶であるこのお店は、今日も甘くて幸せな香りでいっぱいだ。


ショーケースの中には、私の魔法と愛情をたっぷり込めたケーキたちが、まるで宝石みたいにキラキラと輝いている。


真っ赤なイチゴが王冠のように乗った『はじまりのショートケーキ』。


濃厚なチョコレートがとろける『月夜のオペラ』。


七色のフルーツが踊る『虹のフルーツタルト』。


どれもこれも、私にとってはかけがえのない宝物。そして、一つ一つのケーキには、大切な思い出が詰まっている。


ふと、店の片隅に飾ってある一枚の写真に目が留まる。少し色褪せたその写真には、懐かしい制服を着た私と、かけがえのない仲間たちが写っている。みんな、今よりも少し幼くて、だけど希望に満ちた最高の笑顔だ。


その隣には、小さな優勝トロフィー。

『星屑のパティシエール』コンテスト――。


「ふふっ……」

思わず笑みがこぼれる。そう、私の夢は、ここから始まったんだ。


恋、パティシエール修行、そして魔法!

毎日がめまぐるしくて、キラキラしていて、ドキドキが止まらなかった、あの場所から。


――セントマカロン魔法学園。


さあ、ページをめくって、私の甘くて特別な物語を、あなたも一緒に味わってみませんか?

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