第40話「ヴェルド領への帰還と新たなスタート」
#第40話「ヴェルド領への帰還と新たなスタート」
魔術大会が終わり、いよいよ私たちは王都を離れ、ヴェルド領へと戻ることになった。ほんの数週間だったけど、あまりにも濃密でそして誇らしい日々だった。
道中、父さんからある話を聞かされる。
「ヴェルド騎士団の戦いぶりに感心したそうだ。剣術大会でガイルに勝ったカレン嬢も、我が領の研修に来ることになったぞ」
カレンさんがヴェルド領に? あの実力で我が騎士団に興味を持ってくれるなんて嬉しい話だ。
でもガイル兄と何やら良い雰囲気なのが少し気になる。これは母さんやエマと一度相談しておくべきかもしれない。状況によってはそれとなく後押ししよう。
そんな中、そのカレンさんがルカを自分の馬車に誘っていた。
「一緒に乗らない?」
その場で私は慌てて申し出た。「私もいろいろ話したいことがあるから、ルカと一緒に乗りたいな」と。
カレンさんは快く頷いてくれたけれど――
「わたしも一緒にいい?」
と、そこへリナが当然のように加わってきた。がっかり残念。せっかくのルカとの時間を独り占めしようと思っていたのに。
しかもリナは馬車の中で、ルカと商業やら税制やら難しい話ばかりしている。話の内容はちんぷんかんぷんで私にはよく分からない。加えて――
「ねえ、私も今日から一緒にルカと寝てもいいかな?」
などと、リナがとんでもないことを言い出した。だ、駄目に決まってるでしょう!
「駄目、ルカは私と一緒に寝るの!」と私は即座に駄目だしした。
それにしても最近は物騒だ。帰り道でも、魔物の出現は多かった。止まっては討伐、また進んでは討伐。
国中で魔物が活発になっているのは確かだ。我が領は比較的落ち着いているけど、それは日々の討伐を続けているからこそ。
今回も時には罠を使い、時には魔法を使って撃退していった。そしていつものように討伐に関する反省会。今回は我が領ではあまり見ないシャドーモンキーの群れにも遭遇し戸惑ったので反省点も多かった。
カレンさんは、そんな我が騎士団の戦いぶりやその後の反省会の議論を見て感心したようだ。
「組織としてのレベルが非常に高いですね。いつもこんな感じなんですか?」とバルド団長に尋ねている。
うちの騎士団についてカレンさんが確認している。良い傾向だ。彼女は王国騎士団の人だ。今後、彼女と協力しながら国全体の魔物対策にも関われたら、きっと領としても価値ある一歩になる。
そして、とうとうヴェルド領が見えてきた。ようやく帰ってきた。
数週間ぶりの帰還。マルク兄、テオ、エマ、カイ、そして乳母さんが並んで出迎えてくれた。
父さんが口を開いた。
「みんなで迎えてくれてありがとう。最初に言っておきたいことがある。我がヴェルド家は子爵に叙せられることになった」
「ええっ!?」と、みんなが驚いたのも当然だ。私も、最初に聞いた時は信じられなかったくらいなんだから。
こうして私たちは領に戻ってきた。
ここは私の原点だ。そして帰る場所でもある。
魔法使いとしても、一人の家族としても。
少し久し振りにヴェルド領に戻ってきて、この地を、みんなで――大好きなルカと一緒に、ずっと守っていこう。私はそう強く思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます