第7話「私達を助けてくれたのは弟のルカだった」

#第7話「私達を助けてくれたのは弟のルカだった」


 月日は過ぎ、私は18歳に、そして弟のルカは3歳になった。


 今日はルカが生まれてから初の家族でのハイキング。私は騎士団の皆とともに、母や父、兄と弟――家族全員で森へ向かっていた。


 ルカは3歳になった今でもなかなか歩くことができず少し遅くなったけど、、、母さんが居ても立っても居られず、ルカを外に連れ出すためにハイキングを企画したようだった。


 ルカが「お母さん、木がキレイ!」「太陽がまぶしい!」「外は広い!」ってはしゃいでいる。本当に3歳とは思えないほどに言葉は流暢だ。これで何故普通に歩けないのか不思議になるほどアンバランスな弟。


 今日は本当に久し振りに楽しかった。皆が笑顔だった。



…あの時までは。


 突然、斥候が飛び込んできた。「大量の魔物・ボアビーストがこちらに向かっている。その数100頭以上」と。


 聞いた瞬間、心臓が跳ねた。

 ボアビーストは単体ならばそれほど脅威ではない魔物だが複数になると脅威度が上がる。それが100頭以上となると領の騎士団総出で戦うレベルだ。


 今の護衛の数ではどうにもならない。

 私の魔法でどこまで守れる?


 いや、それよりも逃げるのが先だ。私が引きつけて皆を逃がすか?

 とにかくルカを守らないと――!


 逃げようとしたが既に囲まれていた。もう戦うしかない状況。

 母は抱っこしていたルカをおろし戦いの準備を始めたようだ。


「魔物退治するから、ここでじっとしててね」という母の声が聞こえる。


 父が指示を出す中、私も必死に魔法を構えた。

 けれど、体が震えて思うように動けない。


 いつもは魔物から少し離れた安全なところから魔法を撃っていた。


 でも今は魔物がすぐ近くにいる。効果的に魔法を撃つこともできない。何体かを倒しても、次々に現れる群れに心が折れそうになった。


 父さんも母さんガイル兄も剣を取って護衛の騎士団と共に懸命に戦っている。みんなさすがに強い。

 それでも魔物の数が多すぎる。そして騎士団には倒れる人も出てきた。まだまだ魔物はいる、もう持ちそうにない。このままみんな死んでしまうかもしれない、、、。


「もう嫌だ、、、怖い。助けて、、、」


 恐怖で目の前が真っ暗になりそうだった。



 でもその時だった。突然、状況が変わった。ボアビーストたちの動きがおかしくなったのだ。


 何故か私達を襲うのをやめた。


 そして、目を擦り、角をかきむしり、方向感覚を失ったかのように混乱しはじめた。何が起きたのか分からない。


 けれど、その隙に騎士団が反撃を開始し、流れが変わった。理由は分からないが混乱しているボアビーストは何頭いようともすでに敵ではなかった。ついさっきまで過酷な戦闘があったことが信じられないぐらいに簡単に討伐されていった。


 私は何が起きたのか分からず、ただただ混乱し唖然としていた。

 私達、助かったの?何が起きたの?


 近くで父さんの声が聞こえる

「ルカ、お前…天才だ!」


 …え、ルカが助けてくれた!?

 ルカが何をしたの?


 どうやらルカが何らかの魔法を使ったらしい。

 私の攻撃魔法とは全く違う魔法。魔法としての力は弱い。でも効果的にそして的確に敵を混乱させたらしい。

 恐怖から解放された私はルカに駆け寄り思わずルカを抱きしめた。


「ルカ、すごい! 最高!」


 温かい小さな体が、胸の中にいた。

 真っ赤になって照れていてかわいい子、私の弟ルカだ。


 この時から私の中で何かが大きく変わった。急に世界に色が付いたように感じた。


「ルカは私の命の恩人で宝物、大好き!もう絶対に離さない」

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