第12話 婚約話
「ふっ」とアレクシス様が微笑んだ。
「嬉しいよ。爵位がなくても、僕と結婚しても良いって考えてくれていたなんて」
胸がキュッとなる。そうだけど、そうじゃない。多分、アレクシス様が考えているより
私は打算的だ。どうしよう。
「でも、君と結婚したら祖父の持っている子爵位を継ぐことになった」
「え?そうだったのですか?」
「うん。爵位がなかったら、君のお父上は認めてくれないよ」
お父様、何かゴネたのでしょうか?国外を出ることが先決だったのにゴネたのでしょうか。
お父様に対して少しだけモヤっとしました。まあ、私のことを思ってのことだとは思いますけれど。
「爵位を継げることになったのは、ヒエラクス王国から嫁いでもらう、と言うことと
君が光属性を持っていることが大きい。それに水属性も持っているし」
「私の加護は…ヒエラクス王国の女神の加護ですけど……」
「うん。でも、血筋として光と水の属性の素養を保つという条件が成り立つんだ」
「なるほど……」
「自分の力じゃないのが残念だけど」
寂しそうに笑うアレクシス様の手の上に私は自分の手を重ねた。
「加護は自分で選んだんじゃありません。と言う意味で皆自分の力ではないですよ」
「そう、だね」
「大切なのは、その後の生き方です」
「うん」
アレクシス様はスーッと深く息を吸ってからニコリと微笑んだ。
「僕、君……、アリアのこと大事にするから」
「はい……。私もアレクシス様を大事にします」
そう宣言した途端、周囲から拍手が溢れ出た。ちょっと待って、お母様達、聞いてたの?
なんてことでしょう。
ちょっと恥ずかしくなったけれど、私とアレクシス様が婚約することが確定した。
通常の婚約の場合は、書類に署名をして提出すれば終わりなのだけど、
相手が外国の方の場合は、教会で手続きと儀式が必要なのだそうだ。
女神様に、女神様から授かった加護を持たない方と婚約をすること、婚約をすることにより国同士の繋がりに貢献をするのだと宣言をするのが大事なのだという。
式で、女神様から祝福を受けたら、国外に出ることも認められるのだそうだ。
逆に言えば、国外の方と婚約や婚姻を結んでも、女神様が祝福してくださらない場合には国外には出られないことになる。
それは、どうやって証明しているんだろう。よく分らないけれど、単に婚約すれば良いというものではないようだ。
季節が変わり肌寒くなってきた頃、私とアレクシス様の婚約式が行われた。
婚約は二人の間ではすでに決定事項となっていたのだけど、
マグノリアノ王国と連絡を取ったり、色々な手続きがあって思ったよりも時間がかかった。
それでもまだ年明けまでは期間があった。
私が光属性を持っている為に、王族の婚約者候補となる可能性があると言うことは一応伝えておいた。
王族の権限で、婚約に反対されるかも知れないと不安に思っていることを伝えると
「そんなことはさせない」とアレクシス様は不敵に笑った。
アレクシス様、私と同い年の七歳だよね。不敵すぎませんか?
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