侵入!

皇帝が報告を聞いている同時刻。


石畳を踏みしめる足音が城門に近づいていく。高くそびえる城壁の前には、鉄でできた巨大な門が鎮座し、二人の門番が槍を構えて立っていた。


「止まれ」


低く響く声に、背中に剣を背負い、腰には革の袋。旅の埃にまみれたマントつけた金髪の青年になっている俺は歩を止めた。


「身分証の提示を」


門番の一人が一歩前に出た。鋼の兜の奥から鋭い目が光る。もう一人は無言で槍を構えたまま、警戒を解かない。


「名はカイン。北の山の方から来た。用があって、この街に入りたい。」


俺は落ち着いた声で答えた。声に嘘はない――が、門番はそんなことを信じるほど甘くはなかった。


「通行の理由は?」


「知り合いに会いに来た。薬師を探している。この前、腕に呪いを受けたんだ。森で……」


マントをめくると、左腕に黒い痣が浮かんでいた。門番の顔にかすかな動揺が走るが、すぐにそれを隠す。


「ふむ……」


門番は視線を巡らせた。数歩後ろには、荷車を引いた商人たちが順番を待っている。昼前の城門はにわかに混み始めていた。


「……よかろう。だが規則だ、通行料として銀貨2枚と名簿に名を記せ。武器の登録もだ」


「わかった」


『スキル:【話術】を獲得しました』

『スキル:【交渉】を獲得しました』


カインは門番に従い、古びた帳面に名を書き、【遊戯神の興】で偽装しただだの石ころを銀貨2枚としてを門番に渡す。


中に入ると街の中からは人々の喧騒、商人の声、パンの香りが漂ってくる。


「ようこそ、リュエルの街へ。」


その言葉に、笑顔で返した後、黙って街へと足を踏み入れた。


さて、何故帝国の首都に来たかというとある人物に頼まれたからだ。


俺はあの時の記憶を思い出す。

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