✕-2 ✕✕✕■▲●□△○

足が巻き込まれた瞬間、彼女の断末魔の叫びが空を切り裂く。

機械の無情な音が全てを飲み込み思考を奪う。

引きちぎられるとか、そんな生易しい痛みじゃない。

これは、存在が消える痛みだった。


存在が消えるその瞬間まで、彼女は抗い続ける。だがその声は途中で機械の音に阻まれる。まるで喋るなと言わんばかりに…


■●▲□△◯を形成しながら出口から吐き出される。


吐き出された俺と彼女は、

そのまま、無の世界へと還った。


天国でも地獄でも無い、マットグレーの世界。


カラーかモノクロかも分からない世界。


もう、誰にも触れられないこの場所で――

ただ二人きりの、永遠を生きるために。

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