2-3 ●
釈放後、私は勝った!とガッツポーズをしていた。
弁護士には「99.9%勝てない」と言われていた裁判で――
私には何故かわからないけど、0.1%を勝ち取った。
でも、なぜか釈然としない。
『被告人ヲ無罪トスル……』
あの二重音声のような言葉が、じわじわと私を蝕む。
むしろ、じんわりとした恐怖が体を包み込んでいく。
まるで、丸い器に真っ黒な液体を注ぐみたいに……
もしかしたら、死刑よりも苦しいことがあるのかもしれない――
そう考えるだけで、心臓の鼓動は早くなる。
私は当然、仕事をクビになった。
彼もいない。
肩の荷が降りてスッキリした気持ちすらあった。
そして、私は最初の一歩を踏み出した。
---
***
俺は彼女を見下ろす。
『アイツ……スッキリした顔しやがって……』
黒い感情が沸々と心を支配していく。
丸い器の中身が真っ黒に染まっていくみたいだ。
小さな不幸を与えようと、俺はカラスに乗り移る。
そして彼女に急降下、頭すれすれをかすめる。
驚いた彼女の前に着地し、散々俺をバカにしやがってと文句を言う。
だが、当然出てくるのは「カー」という声だけ。
もどかしさに耐えきれず、俺はカラスから離脱した。
その場に倒れたカラスを見つめ、彼女は足早に去っていった。
俺は……一体何になっちまったんだ…………………………『』
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