こんな【かちかちやま】はイヤだ。

レッドハーブ

こんな【かちかちやま】はイヤだ。

むかしむかしのおはなしです。

あるところに畑をたがやして暮らしているいるおじいさんとおばあさんがいました。畑には毎日、いたずらたぬきがやってきて、悪い事を繰り返しました。


「よし!やったぞ!!ばあさん!今夜は狸汁じゃ!!」


おじいさんはそう言ってまた畑仕事にいきました。

家にはおばあさんと吊るされたたぬきだけ…。


「おばあさん、もう悪さはしないから、縄をといてくれ」

「本当かい?じゃあ解いてあげるよ」


しかし、縄を解くと、たぬきはあろうことかおばあさんを殴りました。


「ははーん。馬鹿なばあさんだぜ!HAHAHA!!」


そう言いながら中指をたて、たぬきは裏山に逃げていきました。

しばらくして帰ってきたおじいさんは、倒れているおばあさんを見てびっくり。


「おばあさん!なんてことだ!!あんのくそたぬきぃ~。この作品を子どもが閲覧えつらんできないような殺し方をしてやるぅ!!」


おじいさんはたいそう怒り狂っていました。

これを聞いたうさぎは、優しいおばあさんの仇をうつことにしました。


「おじいさん!僕にまかせてください!」

「よし!わしと来てくれ!」

「いいえ、たぬきがまたここに来るかもしれないので、おじいさんはおばあさんを守ってください!」

「そうだな…すまない…」



そうして次の日のこと…


「いよう!うさぎくんじゃないか!まき集めか!?」

「まぁ、冬も近いからね。でも、こんなにいらないなぁ。半分あげようか?」

「ほんとか!?悪いなぁ」


うさぎはたぬきに薪を背負わせました。

そして…


カチ、カチ……


うさぎはたぬきに気づかれないように、火打ち石でたぬきの背中に火をつけました。


「ん?なんだ今の?かちかちって、音がしたけど?」

「ああ、かちかちするから『かちかち山』というんだよ」

「へぇ~」


そんな話をしているうちに、たぬきの背中は大きく燃えだしました。

その結果、たぬきは背中におおやけどをしました。

うさぎはあらかじめ用意していた塗り薬を、たぬきに塗ってあげました。


「たぬきさん、やけどの薬を塗るからね!」

「おお!たすか…って、ぎゃあああ!いっってぇぇええ!」


たぬきはさけびました。それもそのはず、塗り薬は唐辛子とうがらしやからしを練って作った嘘の塗り薬だったからです。



さらに次の日、うさぎはたぬきを魚釣りにさそいました。


「小さい木の船と大きいどろの船…どっちがいい?泥の船の方が大きくて硬くて丈夫だよ」

「じゃあ、大きい泥の船で…どっちが多く釣れるか競争だ!!」


しかし、いざ乗ってみると、すぐに泥の船がくずれ川の中に沈みました。


「うわーっ、助けてくれ!船が溶けていくよー!」


あわてるたぬきに、うさぎはいいました。


「おばあさんをいじめたむくいだよ」

「ごめんなさい!どうか、助けてください!」


たぬきが一生懸命あやまったので、たぬきを助けてあげました。そして、たぬきを連れておじいさんとおばあさんの家に行きました。戸を開けると、たぬきのすらいでぃんぐ土下座が見事にきまりました。


「おばあさん、調子こいてすいませんでした。どうか許してください」

「…もう悪さはしないかい?」

「はい!しません!!」

「なんだい、ずいぶん濡れてるじゃないか」


おばあさんは一つの部屋を指さしました。


「…そこの部屋にお湯を沸かしてあるよ」

「あ、ありがとうございます!」


たぬきはお湯がはってあるお風呂に入りました。


…ガチャリ!


「…え?おばあさん!?これじゃ出られない!」


おばあさんは部屋に鍵をかけ…お風呂の火にまきをどんどんくべました。


「今夜の晩めしは…狸のみそ汁だねぇ」

「…え?え?だって許してくれるんじゃ…!?」

「あら?やだよ。うさぎさんは許したかもしれないけど…あたしは許すなんて一言も言ってないよ?お風呂に入ることを勧めただけよ?」

「そ、そんな…だますなんてひどい!!」

「…おや?あたしをだましてどついたあんたが…それを言うのかい?」

「そ、それは…」


おばあさんは笑顔でした。でも目は笑っていませんでした。


「あたしはねぇ…悪人がまともになった話を美化するのは嫌いなのよぉ」


おじいさんとうさぎさんは止めようとも思いましたが、おばあさんのすごみに気圧けおされ、そばで見ていることしかできませんでした。


しかし、おばあさんは死ぬ直前でたぬきを助けました。


「ああ、あ…ありがとうございますぅ!…なんすか?そのこん棒?」

「ああ、これかい?不届きものを成敗するときにつかうのさ」


おばあさんは大きく振りかぶりました。


「こんなふうに…ねぇ!」


BAKOOOOOOON!!


たぬきはそのまま遠くへ飛んでいきました。

たぬきの行方はだれも知りません…。


それからはたぬきを除いて、みんな仲良く暮らしましたとさ。

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