第14話 歪んだフォロワー

田中誠の過激な行動は、美羽たちの捜査にも混乱を招いた。

彼は、自身のSNSアカウントで「楓さんを救う会」を立ち上げ、真偽不明な情報や憶測を拡散し、学園関係者、特に速水怜司教師や、楓の友人である高橋リナ、中村悠斗などを名指しで非難する投稿を繰り返していた。

彼のフォロワーは増え続け、その影響力は無視できないものになっていた。


「田中誠は、楓さんの純粋なファンってだけじゃないわ。

まるで、この事件を面白がっているかのようにも見える。」美羽は、田中の投稿を分析しながら言った。

健太も同意した。

「彼の投稿からは、異常な執着が感じられる。もしかしたら、彼自身も、事件の鍵を握っている人物かもしれない。」


美羽は、田中の過去のSNS投稿をさらに詳しく調べた。

すると、田中が、以前、加藤陽介のIT企業が開催した「SNSと心理操作」に関するセミナーに参加していたことが判明した。

そのセミナーでは、SNS上での情報操作や、フォロワーの心理を誘導するテクニックについて、加藤陽介自身が講演を行っていたという。

美羽は、田中が加藤の技術に影響を受け、それを今回の事件で悪用している可能性を疑い始めた。


一方、五十嵐刑事は、小林沙織の供述に矛盾点がないか、慎重に確認を続けていた。

沙織は、楓が最後に口論していた相手が「シャドウ」であり、その人物が真犯人だと主張する一方で、その人物の名前を頑なに明かそうとしなかった。

五十嵐刑事は、沙織が何かを隠していることに加え、その「シャドウ」と沙織の間にも、何らかの繋がりがあるのではないかと疑念を抱き始めていた。


私立探偵の大山剛は、独自に田中誠の周辺を調査していた。

大山は、田中が過去に、ある有名インフルエンサーのストーカー行為で逮捕されたことがあるという情報を掴んだ。

田中は、そのインフルエンサーにも過剰な執着を見せており、今回の楓のケースと酷似していたのだ。

大山は、田中誠が単なる熱狂的なフォロワーではない、危険な人物であると判断した。


「シャドウ」からのメッセージは、それ以降、途絶えていた。

しかし、美羽は、この沈黙が嵐の前の静けさではないかと感じていた。

美羽の推理は、加藤陽介のIT企業、そして田中誠という人物へと、確実に焦点を絞り始めていた。

事件の核心に、美羽は一歩ずつ近づいていた。

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