魔女の系譜

@derniersorciere

第2話

今思えば下準備が苦手で直感的に行動してしまう自分らしいと思うのだが、子供のときに訪問したきりで、あれから20年近く経っているいるであろう館に、私は下見もせず引っ越しをすることだけを決めてしまった。

元々狭いアパルトマンでの自分だけの荷物である、引っ越しは半日でおわった、引っ越し業者の人の言うには、「いや、荷物が少なくて我々は助かりますが、それにしてもここに来るのに迷いまして・・・近くに目印になるようなものもないですし、同じところを回ってしまうんですよね、ほんとはもっと早く片付いたと思うんですが、いやすいません、しかし、広い立派なお屋敷ですねぇ、こんな広いところにお客さんお1人住まいですか?あたりに何もないですしーいや、余計なことを。」とのことだった。私は苦笑いしながらそれもそうだな、ずいぶん私が偏屈な人間に見えるだろうと思っていた。

当日は、埃だらけのカーテンや蜘蛛の巣がはった家具を拭いたり、床に掃除機をかけたりでくたくたに疲れ、祖母が使っていたと思われるベッドに横になった。祖母には悪いが、湿ってかび臭いマットが不快だった。かろうじて、シーツだけは持って来ていたので自分のものに取り換えた。あとは泥のように眠った。

ガタガタと海風があたるのだろうか、古びて大きな窓が揺れる音が耳を騒がせた。

このまま朝まで眠りたいのにーぼんやり思いながら窓に目をやる。ヒューヒューという風の音と、かすかに波の音が聞こえる。

窓が古いつくりなので、音が大きい。割れなければいいがー何か補強しなければいけないだろう、嵐になったらたまったものではないと思いながら寝がえりをうとうとしたとき、ガタン!と窓が開いた。最悪だーそう思って立ち上がって窓を見ると、そこには人影があったー恐ろしさで息がとまりそうになった。動けない、声がでない。泥棒?強盗?

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