野菜広場へ着く道中〜カエルのメガネは儀式する

マワルロボに手を振ってノートタウンの広場へ向かうprotectorSと私は道の途中でカエルの形に縁どったメガネを掛けて大量に編み込んだ髪に白衣を身にまとったお姉さんが倒れているのを発見しました

すぐにprotectorSが安否を確認するために駆け寄ります


白衣姿のお姉さんが震える手でアホの肩を掴むと何かを欲しそうに同じ言葉を何度も唱えています、そんな女性に保ちゃんが優しく問いかけます


「どうしたのお姉さん、わたしたちになにか出来ることはある?」


「......ロ.........クロ...チョウ...ダイ.フ..ロ...」


「ごめんねお姉さん、聞き取れないの、もう1回おねがいします」


「フ......クロ...ちょうだいって....言った..ヤツラハ...バケモノだわよ.....アッシャア....モウ..オワリだわよ.....ヘルプヘルプヘルプミーダワヨ......」


「袋だね、ねぇゆうちゃん?お菓子の袋ちょうだい♪」


「えー、まだタコオニオンの匂いが残ってるんだよ?もう少し楽しみたいよぉ」


「由ちゃ〜ん?」


保ちゃんが由接に威圧....優しい笑顔を向けると一瞬ビクッとした由接がスナック菓子の袋を持った手をカエルメガネさんに伸ばして紳士を宿らせます


「どうぞレイディー、こちらの袋をプレゼントforYou☆たいせつに使ってplease✧」


カエルメガネさんがスナック菓子の袋を由接の手からものすごい勢いで奪い取ると突然口から......私はこの言葉をいかなる言い換えをしたとしても発言したくありません......想像もしたくありません


私にはこれから毎日、お腹いっぱいの野菜が食べられる夢の生活が待っているんです、こんなところで負けたくな.........ウップス....


「フゥー......スッキリスッキリしただわよ、ってかぁ!マジなんなのア奴等らはぁ!マジ化け物だわよ!早朝からノンストップでア奴等らに付き合えるやつなんかあっしゃあイマちゃんくらいしか知らないだわよ!アっしゃあ酒が弱いんだわよぅ畜生がぁぁぁぁァァァァァ...アっしゃあもう飲めないだわよぉ......ああそうだ!いい手があるだわよ!」


カエルメガネさんは復活をするなりいきなり怒り出したかと思ったら不意にしゃがみこむと、襟に挟んだペンを取り出して地面に複雑な紋章を描き始めました


その紋様に興味を持ったアホが目をキラキラとさせてテンションを上げます


「すげぇな姉ちゃん!めっちゃ絵ぇ上手いなぁ!なに描いてんの!?」


「これはことごとくを破壊する悪魔をア奴等の腎臓に直接宿らせる為のテレポート装置だわよ、見ていろだわよ青ざめろだわよ苦闘に果てるだわよクケケケケケケ」


「悪魔を宿らせる?テレポート装置?なんかよくわかんねーけど姉ちゃんって頭いいんだな!」


「おおお少年!アっしの才能を一瞬で理解しただわね?お前も相当頭がキレる子なんだわねぇ!クケケケケケケ!!」


「おい保ぅ〜!頭がキレるって言われちゃったよ俺ぇ〜へへへ〜」


「よかったねかっつん♪」


「クケケケ...アんた方カップルだったんだわねぇ.....?」


「はっっ!はああぁぁぁぁぁぁ!?ちげぇし!ちげぇからな姉ちゃん!ちげぇんだかんな!?なあ保もなんか言ってやれよ!」


「そそそそそうだよお姉さん!わたしたちはこの街を護るprotectoSだよ!?そんな浮ついた仲じゃないんだからぁ!」


「ふぅ〜〜〜んへぇ〜〜クケケケケケケケ〜いいだわよ、アっしゃあアんた方を応援するだわよ、せいぜい頑張るだわよ若い命たちクケケケケ〜」


赤面してムキになるアホと保ちゃんと敗北のポーズをとって動かなくなった由接を知り目に私はチケットを配らなければならないことを思い出しました


だけども渡すタイミングを完全に見失ってチケットの束を掴んだまま立ち尽くす私にカエルメガネさんが気づいてなにやらまた怒り始めました


「へい魔女の少女!そのチケットの束をどこから持ってきただわよ!?命欲しくば説明するだわよ!事情によってはアっしの仲間に突き出さないといけなくなるだわよ!?」


「ひぇあ!あの、これは甘美さんって人がそぼろと労働を引き換えに私に渡したチケットです!よよよよかったら受け取れですよ!ガクガクブルブルブルブル」


「ん?イマちゃんが?クケケケケケなーんだそういうことだわね、アんたはアっしらのライブチケット配りを手伝っているわけだわね」


「アっしらのライブ?カエルメガネさんは甘美さんのお知り合いのかたですか?」


「おいアんたアっしを変なあだ名で呼ぶのわ止めろだわよ、アっしにわ祟夢波良良たたりめぱららっつー親からもらった名前があるんだわよ!」


「それはすみませんでした、お詫びにこちらの3人が野菜を買ってくれるそうですよ、広場にGOです」


「あだ名は許すし野菜も要らないだわよ、スッキリもしたことだし、アっしゃあそろそろア奴等の居る酒場に戻らないといけないしで野菜を買っている暇なんて無いんだわよ」


「そうですかわかりました残念です、ちなみに派良良さん、ア奴等と言うのは甘美さん以外のバンドメンバーことですか?」


「そうだわよ、アっしらのバンド、FREAKY TERRORs《フリーキーテラーズ》の飲んだくれ2人組だわよ、飲みすぎないようにってイマちゃんに監視を頼まれたんだわよ、でも戻ったらまた飲まされるだわよ、めっちゃくっちゃ嫌だわよ」


「それで飲まされてあのザマってことだったんですね、お大事にしたあとにまた無理してください、きっと応援しています」


「アんたはア奴等より失礼な魔女だわね、でもアっしゃあそういうの嫌いじゃないだわよ、そんじゃアっしゃあ行くだわよ、肥えた少年よ、袋をありがとうだわよ、アっしゃあね、この街の外観を見てると懐かしくなるから好きなんだわよ、なんとか汚さないで済んだわよ」


派良良さんはそう言って不意に優しい目を空へ向けました、なんだか言葉では言い表せないような不思議な感情が伝わってきます


数秒の沈黙を他所に派良良さんが私たちに向き直ります


「どこかでまた会えるといいだわねぇ、いぃやぁ、必ず会えるだわよ、しかも近いうちにね、それでは若い命4人集!さらばだわよ!あと頭の一匹もね!」


予言じみたことを言い残すと、派良良さは走って行ってしまいました

去り際に少しにやけていましたけどなんなのでしょうか、魔法陣にでも問いかければ悪魔が答えてくれるでしょうかね、そんな疑問はすぐに風へと流れていきます


派良良さんが見えなくなるまで見届けたあと、保ちゃんが頑なに敗北のポーズを崩さない由接へと近づきます


「由ちゃんだいじょうぶ?」


「........僕の.........お菓子.......夢が壊れる音ってあんななんだ、聞きたくなかったよ....僕、聞きたくなかった...グスン」


「大丈夫だよ由ちゃん♪広場に行けば大きなゴミ捨て場があるよ♪」


「そういう問題じゃないよ......いや、そういう問題か、そうだよね、そうだよ、広場でごぼうだよ」


ふらふらと立ち上がった由接は、お菓子の袋をピーンと張った腕の先で固定しながら無心を思わせる表情で歩き始めました


それに合わせるようにアホと保ちゃんも無言のまま由接の後ろを歩きます、その姿は騎士の行進を思わせるような勇ましさを持って........るわけがないですよ

なにを言ってるんですかね私は、ゲロの匂いにでもにやられましたかね、あッ........

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