第5章②



 


放課後



駅前のカフェで、美結と向かい合って座ってた


「ほら、これ見てよ!めっちゃイケメンじゃない?」


美結がスマホをこっちに差し出してくる


モデルみたいな男の人の写真

周りの友達も「かっこいい!」って騒ぐんだろう

でも──


「ふーん」


適当に流してアイスコーヒーのストローをくわえる


「玲那、ちっとも興味湧かないのー?」


「だって、見てるだけでお腹いっぱいだし」


「前の彼氏ともすぐ別れたでしょ?」


「なーんかね…飽きた」


美結が苦笑するのも、もう何回目かわからない


 


周りの友達は


誰と誰が付き合っただの

どこでデートしただの


そんな話ばかり__



私はずっと、その輪の外側にいる感覚だった


 


「玲那ってさ、ほんと理想高いよね」


「そうかな」


「だってさ、同い年とか絶対興味ないでしょ?」


「……うん」


小さく返事をする


 


頭の中に浮かんでたのは

もちろん──飛悠だった


あの冷たい目

あの低い声


誰にも話せない

話す気にもなれない


だって言ったらきっと

“やばくない?”

“危ないよ?”

そんな反応されるのが目に見えてるから


 


「なんかさ〜、玲那のそういうとこ…大人っぽいけど、逆に損してない?」


美結の言葉に、ふっと小さく笑った


「かもね」


損してるのかも

でももう、普通の恋愛に戻れる気がしなかった


 


──あの人に会いたい



無意識に


胸の奥で呟いてた

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