小気味いい会話で進んでいくモキュメンタリー風ミステリー

 ⬛⬛さんという名前の明かされない人物が飛び降りて、それによって集団パニックが起きたということを語る生徒たちの話から、この物語は始まります。

 いじめが原因で死んだんじゃないかとか、自殺が起きてから良くないことが起きるとその生徒の呪いなんじゃないかとか、そういう話が出てきて、冒頭はちょっとホラーっぽいですが、全体的に見るとそんなに怖くはなく、爽やかな物語だったように思います。

 序盤以降は、生徒会長がお昼の放送でなんらかのお題を出し、それを受けての生徒たちの会話、そしてそのお題の結果発表という流れで物語が展開されていきます。

 テンポ良く進んですらすら読めますが、同時にこのお題は冒頭の事件となにか関係があるのかな……なんて考えさせられてしまいました。

 お昼の放送が始まってからは明るい雰囲気で物語が進んでいくのですが、徐々に不穏さも出てきて、真相が気になり、最後まで飽きずに読めました。

 ちょっと変わったタイプのミステリーですが、真相も意外性があり、結末まで楽しめました。おすすめです。

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