私はサンドバッグになって、強烈なストレートを喰らい続けていたかのような、そんな気持ち良さを感じさせられた作品集でした。ボコボコにされたいそこのあなた。そう、そこのあなたです。ぜひ、ボコボコにされちゃってください。
そうなんだよな、そうなんだよって思うことがとても多い連作です。1つ1つは31文字の短歌なのですがなんというか、この表現正しいかどうかわからないのですが、聖書の1ページを読んだようなそんな気持ちにさせられるのです。命は神秘などでなくただリアル聖書はこんなこと言っていません。でも、聖書を読んだ気持ちになるのです。言わんとしている事は同じような気がしてならないのです。多くの人に読まれますように。
どの短歌も、わかる、わかる、と拝読しました。読むごとにそれがましてゆき光あれ 底なし沼の真ん中で沈む私を照らす月光この短歌にやられました。ありありと情景も、心情も理解できる気がして……。どの短歌も、心がぎゅっとなる素敵な短歌がたくさんでした!素敵な世界をありがとうございました……!
生きることに無欲なようで貪欲で、人の性。愛することを諦めたようで未練がましく、女心。矛盾という、この世の極上な遊びを味わえる短歌。
衝撃力、いや破壊力の強い短歌が、次々と放たれていますので、心を撃ち抜かれることでしょう。なんだか、主人公の女は、この世に未練など無いかのようで、それが怖くもあり、不思議な魅力にもなっています。結局のところ、短歌の神髄って、思い切って言葉を叫ぶことなのかもしれません。捨て鉢な女の雄叫びのような短歌集。アンニュイですがカッコイイ短歌集。