買った物、それは静かな狂気
- ★★★ Excellent!!!
レシートの積み重ねという何気ない日常の断片から、じわじわと不穏さが立ち上がってくる構成が珍しく買った品物を読み進める。
最初はありふれた買い物の記録なのに、家計簿をつける感覚でレシートを確認していると
「これはただの生活の買い物ではない」
と気づかされ、背筋が冷えていきます。
無機質な数字や商品名の羅列が、そのまま物語を語ってしまう手法はとても斬新で、読み手自身が推理に巻き込まれる感覚があります。
最後に提示される報道記事によって一気に視界が開け、これまでの細部がすべて意味を持ち始める瞬間は圧巻。
派手な描写を排し、あくまで淡々と積み重ねていくスタイルだからこそ恐怖が際立つ作品です。静けさの中に潜む狂気を描いた傑作といえるでしょう。