「何度でも、君に恋をする。」という言葉が、この物語のすべてを優しく、そして切なく物語っているように思えました。かつて敵同士だった二人が、信じるものを越えて惹かれ合い、命すらも賭して紡いだ愛。その果てに訪れた“もうひとつの現実”は、まるで夢のようでいて、どこか抗えない運命のようにも感じられます。
御堂が柚月を再び愛そうとするその姿には、人が誰かを深く愛することで、自分自身の過ちと向き合い、赦しを得ようとする静かな意志がにじんでいて……読んでいて胸が締めつけられるほどでした。
たとえ別の世界、別の姿であっても、魂は光を覚えている。そんな“記憶”があるからこそ、彼の想いは再び動き出すのでしょう。この物語は単なる恋愛ではなく、生き直すことの意味をもそっと差し出してくれます。善と悪を超えたその先にある、ひとつの純愛のかたちに、私は深く心を動かされました。