鳳仙花
リーン……
風が運ぶ鈴の音
夕焼けが落ちる空に
かなしみ一つ
心を湿らせて
◇
わたしのことなど何も知らない
そんな橙が辺りを照らす
あなたはひとり
針が止まったまま
影の音が重なる
すすきがたなびく
今は白の季節
◇
知らない なにも
知らない なにも
知らない
知らない
しら…な…い
あなたが侵されていたことなど
しらない
しらない
しらなくて、いい
わたしはしらなくていい
知らなくて……
ざわりと
鳳仙花が鳴いた
火が空に流れる
燃えている
いたみが
くるしみが
そうやって 燃やして
送って
降り積った灰の上で
動けなくなっている
リーン……
足もとの金属片と
群青に落ちていく
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