第20話「夜空の絆」
夜空を見上げながらツキノとシスティは寝転がっていた。
ツキノの話を聞き終えたシスティが複雑そうな表情でツキノの様子をうかがっていた。
「どう声をかけていいか…分からなくなりますよね…?」
ツキノは苦笑しながらシスティに笑いかける。
「自分から聞いておいてなんだけど…何ていうか…話を聞いてアンタをいじめてたやつはとりあえず…殺したくなっていたのは確かよ。教師も含めてだけどね。」
「…そうですね。ほんと。理不尽で大嫌いですよ。あんな世界。」
小さく風が吹き抜ける。
「そうね。私も私の世界が大嫌いよ。本当に。」
「…お互い。いろいろありましたね。」
「本当にね……私、ツキノのこと知ることが出来て良かったわ。」
「ボクもですよ。ありがとうございますね。聞いて下さって。」
しばらくの沈黙。
でも、2人の表情は清々しい。
「なんか変な感じです。凄く気持ち軽くなった気分なんですよね。」
「…奇遇ね。私もよ。」
心機一転。
気持ちを切り替えてツキノが切り出した。
「じゃあ改めて…今後の事をどうしていくか話していきますか?」
「賛成ね。異議なしだわ。」
「まず、現時点でのゴールを決めましょう。」
「となれば【黒上いぬこ】との接触が目的ね。」
「その通り。しかしながら今は夜ですし、危険な感じがするので、朝が来るまでここでおとなしくしておきましょう。幸いな事に、嫌な感じはさほどしないんですよねこの場所。」
不思議そうにツキノを見るシスティ。
「貴方にも感じてるんだ…。やるじゃない。」
「貴方にもってことは、システィもですか?」
「まぁね…。軽く省くけど、私は元々が優秀な大天使と大悪魔の融合体。ハイスペックな存在だったから。なんとなく2人の力が働いて感じるのよ。そういうのには敏感というか。」
「すごいですね…システィ。」
「複雑ではあるけど…2人がまだいてくれてるって感じるから私は…実は嬉しい。」
「そうですか。よかったです。」
夜空の下に二人きり。
出会って間もない2人の異世界人。
打ち解けるまでさほど時間はかからなかった。
その後万が一を警戒し交代交代で仮眠しつつ朝を迎えるのだった。
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