放課後の探偵〜開かずの図書室の謎〜
兒嶌柳大郎
第1話「消えた古書と放課後の探偵」
放課後の図書室
夕暮れが窓辺を橙色に染めるころ、一ノ瀬莉子は図書室の片隅でページをめくっていた。
静かな空間の中で紙の擦れる音だけが響く。隣では佐伯航汰が頬杖をつきながら天井を眺めている。
「なあ、莉子。開かずの図書室の噂、知ってるか?」
「もちろん。この学校の七不思議のひとつでしょ?」
莉子が視線を上げると、航汰が少し得意げに笑う。
「そうそう。でもさ、今まで誰もその部屋を見たことがないんだぜ。本当にあるのか?」
「あるわよ。ただ、開かないだけ。」
ふと、図書室の奥に目を向ける。古い書架が並び、そのさらに先に扉が一つ。鍵はかかっているが、確かに存在している。
事件の始まり
翌日、図書室は騒然としていた。
「寄贈された古書が消えた……?」
図書委員長の朝霧詩織が困惑した表情で報告する。彼女の背後では影山先生が腕を組み、何かを考え込んでいた。
「本が消えるなんて……そんなことある?」航汰が呆れたように言う。
「確かに変ね。厳重に管理されていたはずなのに。」
莉子は貸出記録を調べた。だが、その古書の貸出履歴はなかった。まるで最初から存在しなかったかのように。
「これって……盗難事件なんじゃ?」
図書室に漂う緊張感が一層濃くなる。
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