苦労婆さん

まえとら

苦労婆さん

昔々あるところに、お婆さんが住んでいました。


朝、起きることにも。

食べることにも。

働くことにも。

老婆は生きることに苦労しておりました。

苦老婆さんがいました。


食べ物が欲しい!

仕事が欲しい!

お金が欲しい!

欲しい!欲しい!欲しい!


あれもよこせ!

これもよこせ!

お婆さんの心はすさんでいました。



そんなある日、一羽の雀がお婆さんの前に舞い降りました。

チュンチュン


「ふん!餌なんかないよ!あっちいきな!くっちまうよ!」

雀は、おっぱらわれても、お婆さんの近くに毎日毎日飛んできました。

次第に、お婆さんは、そんな雀がかわいくなってきて、話しかけたり、虫をあげたりしました。



お婆さんの歯が抜け落ちて、四本になって四つ歯になった頃。

お婆さんは、河原で倒れて微笑んだまま命つきました。


河原には、白詰草が群生していました。

やがて、四つ葉のクローバーは、

幸せを呼ぶといわれるようになりました。

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苦労婆さん まえとら @mae10ra

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