とても人通りの少ない、寂しい神社だったのだと思う。
何せ宮司もいなければ、村人達が「お不動さん」などと言い恐れるような場所である。
立地も坂の途中にあるらしいので、想像できるのは山の影に立っているような、地元民しか知らない小さな神社なのだろう。
しかし、実際には「不動明王を祀っていた『らしい』」と言う定かではない情報ばかりか、祠に続く小さい洞窟は既に固く閉ざされてしまい、確認する術もないのだそうだ。
あたりには注連縄や札で、何やら恐ろしいものを過剰に封印しているようにもとれ、
確かに『よほど恐ろしい何かあったんだろうなあ』と思わせる。
梅雨に差し掛かり、これから夏を迎え入れるには程よい肌寒さにございます。
ご一読を。
改めて考えると、「?」となる名前の祠とか神社ってありますよね。
「不動尊」とかいうと、不動明王を連想させられる。でも、本当にそういうものを祀っているのかは謎。
インターネットとかで検索しても「〇〇年に誰々が建立した」とかの事実が出てくる程度で、「どういう意図で何を祀ってるんだよ」というのは見えてこない。
本作もそんな「よくわからない祠」に注目した事実が書かれています。
そんな謎の祠に、ある日「とある変化」が起こっていて。
その痕跡がどうも、「何かあったのか」とだけ思わされる。一般人のあずかり知らない「何かの事情」があって、世の中の裏では必死の攻防でも行われていたのか。
とにかく想像力を刺激され、ぼんやりとした気味の悪さが感じられます。
こういうことって、探せば日常の中に他にもいっぱいあるんだろうか。今後は町を散歩する時、物の見え方が変わりそうだと思いました。