第50話 壊れるからこその”美しさ”
更新が遅く、数話離れているので一応。
前回のあらびき
裂け目内でモンスターを蹂躙し、ボスも簡単に討伐できてしまった蓮達の目の前には謎の少女(?)が立ちはだかる。
親方!煙の中からドアを蹴飛ばした女の子が!
見た目は子供、頭脳は…
次回、助っ人のお兄さん〇す
デュ〇ル 〇タンバイ
…と言う訳で本編で~す。
※作中の蓮君の言動は決して作者に対しての物では無いです。
かっ、勘違いしないでよね!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
何言ってんだこいつ。それがこの状況の僕の感想である。
脳の思考回路がエラーを吐いている。それを直す為にも、一度、目の前の少女の言動を整理しよう。
まず、僕達を下に見ていて、戦いを求めている。これは確定だ。自信があるのか、単に目立ちたいだけなのかは分からないが…
先程の言葉のニュアンス的に全員で襲い掛かって来ても良い様だ。如何しよう?僕も、少しずつだがこの世界に慣れて来たので、『女の子だから傷つけられない』なんて甘ったれた事を言う積もりは無いが、目の前の小さい子をここに居る男(成人済み2、未成年4)と女(未成年2)の計八人の全員でフルボッコダドン!にするのは、流石にねえ…。あまりにも絵面が悪い為、出来ればそれはしたくない。その他に何か良い方法は無いのだろうか?
待てよ?何で僕は最初からこの子と戦闘になる可能性だけを考えているんだ?
忘れていたが、一応ここはSランクの裂け目だ。子供が肝試し的なノリで来る可能性もゼロでは無いだろう(多分)
恐らく、大人から『危ない場所だから近づかないで』と言われている場所の最奥まで無傷で来たのだ。テンションが変になっても可笑しくは無い。
でも、その場合、ここに至るまでの道中に出現したモンスターは如何したのだろう?僕も一人では難しい場所を中学校3年生位の女の子が一人で踏破出来るとは思えない。
…ゲームの様にモンスターのリポップまで時間があるのなら、モンスターは僕達が狩り尽くしたから、ここに無傷で来る事も不可能ではない…のか?
まあ、そんな楽観的な仮説は置いて置いて、最悪の場合を想定しよう。あの子が襲撃者であり、組織的に動いていて、尚且つ、僕達がいるここに来るまでのモンスターを僕達の誰にも気づかれずに殺していた場合。
その場合、この襲撃は計画に基づいた物となり、目の前の少女がドラゴンを無音で殺せる何かを持っている事となる。
通常はドラゴンの鱗が固いせいである程度の威力の攻撃をしなければいけない。そうなると、大きな音がなってしまう。(例:鱗を貫く為に加速させた魔術が裂け目の壁に当たる音、鱗に剣が弾かれる音)
無音で殺すだけが縛りなら、ドラゴンの目の辺りを長い鋭い物で貫けば良いのだが、ここに来るまでの全部のドラゴンをそのように殺す場合、馬鹿みたいに時間が掛かる。仮に僕が襲撃を計画するとすれば、どの程度の時間が掛かるか分からない物を作戦に組み込む様な事はしない。
つまり、彼女は短時間でここに来たか、僕達が来る前に何処かに隠れていたかの二択になる。後者の場合はあまり心配はいらないが、前者だと面倒だ。
「む?如何した?来ないのか?来ないならば、我が行くぞ」
僕が考察していると、そろそろ我慢の限界なのか行動を起こそうとする少女。それを止める為にも、お兄さんが気になる事を質問する様だ。大事な事を言うかもだからしっかり聞いて置こう。
「…お前は逃走をしても良いと言ったが、仮にした場合如何なる」
「何、簡単な事よ。お前達を追撃するだけだ。それを聞いて何になる」
今までは、『逃げる』か『戦う』と言う二つの選択肢があったが、統合されてしまった。どっち選んでも結局戦わないといけないなら、救援を呼べる可能性のある『逃げながら戦う』を選んだ方が良いのではないか?
「そうか…仲間と話しても良いか?」
「好きにせい」
好きにせいと言われたので好きにしよう。まずは先程固有を使ったせいで、疲労困憊と言った状態になっている睦月を運んで、雫さんと双葉に話しかける。
「双葉、雫さん、どうする?僕は逃げる方が良いと思うんだけど…」
「
「どちらでも良いんじゃ無いか?万が一を考慮するなら、蓮の案が良いと思うが、それも状況次第だろう。相手の機動力が高い場合は広い空間は悪手だが、かと言って通路の様な場所が良いとも言えない。誰かが不味いと思った瞬間、全員で逃げる。これが最善だと思う」
こんな感じで僕達の方針は決まった。お兄さんに報告しようと歩いていると、暇になったのか少女が辺りを見渡している。嫌な予感がする。そう思った時にはもう遅く、少女の視線が明空睦月に固定された。
「…おい!そこのお前!名は何と言う早く答えろ!」
「睦月だ」
疲労困憊と言った様子で睦月が答える。
「そちらではない!名字を言え!」
「明空」
少女が睦月の回答を聞いたその瞬間、押しつぶされていると錯覚する様な殺気が放たれ、僕達を襲う。殺気に慣れていない僕は、それを受けて過呼吸になりかけたが、自分の精神を如何にか落ち着かせ、情報の収集とこれからのプランを考える。
僕が考えていた一瞬で双葉によって睦月が回収され、僕が精神を落ち着かせている間にその殺気に反応した助っ人のお兄さん達が、睦月に向かってゆっくりと歩みを進める少女に向けて攻撃をした。
…した筈だった。
お兄さん達の剣が少女の首に迫り、後一歩で首に当たった瞬間、首に出現していた鱗によって剣が阻まれ、剣が弾かれた衝撃で一瞬硬直してしまったお兄さん達に向けて少女の拳が振るわれた。お兄さん達は吹き飛ばされ、約50メートル先の壁にぶつかったかと思うと、肉片が飛び散り、血が壁に付着する。
「戦闘をするだけで殺すつもりは無かったが……止めだ。今から貴様らを殺す。先に言っておくが、これはただの八つ当たりだ。肉も、骨も、それらを焼いた灰さえも、全てを消滅させる。恨むのならば、自身の出生か我を恨め。只々生きていた我を復讐者へと変えた奴を恨め」
ドラゴンの様な鱗が少女の体に少しずつ拡がって行く。鱗が全身に生え、巨大化し神話の龍の様になったその姿は、見る者に力強い、もしくは気高いなどの感想を抱かせ、一方で一部の滝や洞窟の様な、少し手を加えれば、すぐ壊れて仕舞う様な神秘的な美しさがそこにはあった。
「これより始まるのは、あの日捨てた物を再び拾わせたお前達への罰だ。精々、我の気が晴れるよう惨たらしく死ね」
こうして僕達の逃走劇が始まった。
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