第2話 氷雨事件

氷雨事件


氷雨事件は2005年に綾世町南部氷雨で起きた誘拐殺人事件である。


▪︎失踪者

中村 梓

被害者である中村梓(事件当時27歳)は同町内で出生。現在でいうシングルマザーの家庭に生まれ、氷雨第一高校を卒業後、凛鹿大学へ進学する。

同大学の大学院へと進み、2004年にはエヌ一家殺人事件についての再検証を行った「エヌ一家事件は自殺ではなかった」を出版している。


▪︎事件当日

10月5日、恋人Aとの14時まで過ごしていた後

知人と会う約束があると語り、彼女の自転車で外出したという。

失踪前の彼女の姿は辛子色のブレザー、ベージュのセーター、緑のスカート、ハイヒールである。

また、彼女が自転車で氷雨駅前のコンビニエンスストアの前を通過したのを近隣の住民が目撃している。


翌6日の12時になっても連絡が取れなかった為、恋人Aが被害者の家を訪れたところ、鍵は空いていたものの被害者本人を見つける事ができなかった。

18時に失踪届を提出し、警察が彼女の行方を調べたところ、いくつか不審な点が明らかになった。


▪︎不審な現象


①パソコンのデータ

中村さんは仕事と私用で兼用していたノートパソコンが存在していたが、初期化されている事が判明した。

16時に仕事関係者へメールを送っていたことからそれまではデータが存在していたと推測される。

②不審なメモ

中村さんのクローゼットにあった衣類の中から4つ折りにされたメモが見つかっている。

メモには「鬼 ↑ 19:00 カフェ soramimi」と書かれている。

筆跡鑑定の結果、中村さん本人が書いたものと鑑定された。

soramimiという名前のカフェは氷雨 サン&ムーンロードに存在していたが、店員に確認したところ中村さんの顔は当日みていないという。


③留守番電話

中村さんの自宅に無言の留守番電話が当日の午後計8回かけられている。

かけてすぐ切られる電話と、5秒ほどの電話があり、それぞれ短・長で示すと

短・長・短・短・長・長・短・短

である。


▪︎奇妙な遺体

10月8日、綾瀬町佐土山にてスーツケースに詰め込まれた遺体が見つかり、DNA鑑定の結果中村さん本人である事が判明した。

遺体には奇妙な点がいくつか存在する為列挙する。


①遺体の断面

遺体は首・胸・腕・腹・腿・足・足首と部位ごとに分けられたバラバラ状になっており、小さなスーツケースであったがそれ故に詰め込む事が可能であったとされる。

また、遺体の断面は一歳崩れておらず、肉から骨に至るまで真っ直ぐに切断されている。

②遺体の腐敗

胃の消化物、腐敗などから死亡して一ヶ月が経過している事が判明した。

当然ビデオカメラの映像や知人の証言などから矛盾が生じている。

(これには高温となるスーツケースに入った為腐敗が早まったと指摘する声もある)


▪︎不審な噂

中村梓さんはエヌ一家変死事件に関連する人物であるという噂がある。

被害となったCが不倫の果てに出産した人物であるとされる。

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