ラムネ

茶村 鈴香

ラムネ


小さい姪のために

初めてラムネを開けた


今までは

父さんか弟かボーイフレンドに

開けてもらってた ラムネ瓶


栓みたいのをひっくり返して

ハンカチ敷いて パンと押す

ビー玉がゆっくり落ちていく


泡がこぼれて 慌てる


「ほら早く

飲んで飲んで」

ビー玉はカラカラ揺れる


小さい姪はなんだか怯えて

こわごわ口をつける

「しゅわしゅわするよ」


だからそういうものなのよ


ラムネを開けてくれた

父は逝き

弟は二児の父の企業戦士

ボーイフレンドは長い旅の途中 


私は暇を持て余し

小さい姪と遊んでもらう

「次はどうしようか?」


ポップコーン買って映画は?

途中で眠っちゃうかな

私の方が


梅雨の走り

小さい姪の濡れた袖口が冷たい

風邪引かせないようにしなきゃ


「ラムネ飲んだら

ショッピングモールをちょっと

お散歩しよう」


雨降りの湿っぽさが

乾くまでね


雨降りの季節が終わって

夏が来たらプールに行こう

プールのラムネもきっと美味しいよ


夏が来たらね


夏が来たらね

眩しい太陽見上げて

飲むラムネはまたきっと違う味

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ラムネ 茶村 鈴香 @perumi

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