ふわり鳴るところ

@Bonjoul

第1話

動揺していた。

予想のしていない恋

心の震わせ方

婦人の睫毛が

乱目に

数回程も揺れる時。


池からは

蛙の鳴き声が

響き

二十七歳になったばかりの

〈私〉は

突然胸を

撃ち抜かれる。

血がぶわぁと

逆上って来るような気配

を感じていた。


午後の西陽は

どこか怠く

覗き込んだ

後ろ姿の割烹は

いやに艶めかしく


私は女である事も忘れて

婦人の首筋へ

手を伸ばそうと

息を止めた。

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