15 忠告
碧が早乙女を送り届けたのを潜在意識から見守っていた葵は、尾行してきた奴が去っていた方向から、なにやら不審な物音がすることを察知し、その音声を切り取って解析を行った。
『次のターゲットはあいつで間違い無いんだな?』
『あいつが"早乙女 百合"で間違いない。だが対象が一人になる時を狙わないとな…この辺りは人通りが多い、どうにかできるか?』
『まぁ、いくらでもチャンスはあるだろう、遅れるようなら、強行手段で行く』
なるほど。尾行してきたやつは二人、両方男だな。ちょっと面倒だな、いつなにをやらかすかわかったもんじゃない。
…ちゃんとした対策、早々に立てないとな。
〜〜〜
碧「…明日から、ずっと一緒にいなきゃな」
葵(学校の中は流石に安全だ、手出しは出来まい)
碧「でも…心配だよ…」
葵(どうにかする、身を守るアイテムなら…あと数日あれば出来る)
危機を察知した時に、自動的に周囲にシールドを展開するもの、バッテリー式にして、やっと完成の目処がたったのだ。
葵(まぁそれまでは頼んだ)
碧「分かった」
それから数日、学校の行き帰りを、何かと理由を付けて、早乙女さんを家まで連れていった。
早乙女「今日もわざわざ家までありがと〜!、また来週ね〜!」
一週間が終わった。ちょうどそれくらいに。
葵(前に言ってたやつ、土曜日くらいに完成しそうだから、月曜日に学校行って渡しといてくれ…、いや、土曜日に俺が直接持っていくわ)
碧「あ、え、ほんと?、直接?」
葵(説明せんとこんなの分かってもらえる訳ないやん)
碧「あー…確かに」
葵(でも一回しか会ったことがないんだよなぁ…そこが心配)
碧「先に連絡入れておこうか?」
葵(そうしてもらえると助かる)
早速連絡を入れてみることに。
碧:早乙女さん?、ちょっといい?
早乙女:百合でいいって!、それで、どうかしたの?
碧:私のお兄ちゃんが、会って話したいことがあるから、明日家に行って大丈夫?、って
早乙女:…それマジ?、え、ちゃんと面と向かって話せるの???、なんか、ほんと、すごい、ありがと!!!
葵(………なんか…すごい乗り気だな)
碧「あはは…そうみたい」
葵(それじゃ、明日持っていく機械の最終調整だけ済ませて寝るとしますかね)
〜〜〜
体は入れ替わって葵に、
葵「…改めて見てみると…結構警備システムがすごいな…」
なんの変哲のない家のようで、観察してみると、そういう不審者の類には、対策が取られている、さすが世界屈指の高校生プログラマー。
葵「と、そろそろ時間か」
そう呟いてインターホンを鳴らす、
早乙女『はーい』
葵「双葉 葵です、」
早乙女『あ!、わ、わかりました!、今開けます!』
…本当に大丈夫かな?
早乙女「いやー、昨日碧ちゃんから連絡来た時は驚きましたよ?、いきなり話をしたいって言うんですから」
葵「すいませんね、ちょっと緊急なもので」
本題に入ろうと思ったのだが、早乙女さんの口が止まらない。なんか慌ててるというか緊張しているというか…本当に大丈夫か?
葵「あ、あの、それで、本題に入りたいんですが」
早乙女「あ…ごめんなさい!、ちょっと興奮してしまって!」
葵「…?」
早乙女「あの…昔から、活躍しているところを見ていました!、今私も頑張ろうと思えるのはあなたのおかげなんです!」
葵「……それはありがとうね、力になれたのだとしたら嬉しいよ」
早乙女「ずっと葵さんの!…あれ、碧ちゃんも…名前の読みが同じで呼び分けがしづらいので、これからはお兄さんって呼んでもいいですか?」
閑話休題
葵「それで、今度こそ本題に入るんだけど…」
早乙女「はい」
葵「最近、何か様子がおかしいと思うことはなかった?」
早乙女「と言いますと」
葵「後ろから誰かにつけられてるように思うとか、他にもなんでも」
早乙女「うーん…最近何か思うことがあるとすれば…何かと理由を付けて、碧ちゃんが毎日私の家までついてくるってことくらいですかね?」
葵「それは、なんでだと思う?」
早乙女「うーん…」
葵「ちょっと話は変わるけど、最近、俺たちの歳で稼いでる人たちが軒並み誘拐される事件が起きていることは知ってるよね?」
早乙女「はい、知ってます、この前ニュースにもなってましたし、…!、まさか…」
葵「早乙女さん、あなたは数日前から、その人攫いに目をつけられています」
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