12 勉強会
碧「おはよう」
一日学校を休んだ後、まだ体調はすぐれないが…
早乙女「おはよー!、体調は大丈夫?」
早乙女さんだ。
碧「大丈夫よ、まだ本調子ではないけど」
早乙女「きつかったらまた言ってね〜」
きて早々心配してくれるなんて、優しい子ね。
葵(…これやっぱ気のせいじゃないと思うんだけどさ…なんか避けられてない?、他の女子から)
碧「やっぱり気のせいじゃないわよね?」
なんだかんだ学校に入学し二週間が経った。だけどできた友達は早乙女さんだけだ。なぜか?、大方予想はつくけどね。
葵(入学から一ヶ月も経ってないのに、告白された回数は…まだギリ両手で数えられるか…まぁ時間の問題だろうけど、異性にモテまくる人は、必然的に同性からは避けられるものよ)
もうはっきり言って仕舞えば「仕方ない」のだ。妬まれる原因はいくつかあるが、思いつくものを上げてみると。
『なんであいつばっかり…』
『マドンナ気取りかよ…』
とかか?、
葵(例を出してみたはいいものの、これに関しては俺の女子に対する解像度の低さが露呈しそうだな、碧に関しては別の理由もありそうだし)
碧は容姿がいいだけではない、自分から分かれた存在なだけに、地頭もとんでもなく良い。成績優秀で、運動も得意、おまけに容姿端麗ときたら、それは完全に高嶺の花…うん、妬まれてるじゃなくて、恐れ多くて話しかけられないんじゃないか?
碧「にしては告白してくる人が多いですけど」
葵(そうやって断りまくってたら減ってくるとは思うよ、いつの間にか"氷の女皇"とかいう二つ名が付きそうだな)
碧「最近◯神でもやってるわけ?、付くなら付くで、もうちょっとマシな名前になってほしいものだわね…別に私だって、恋人が欲しくないわけじゃないの、だけど…いくら何でも、ほとんど初対面の相手の告白を受ける人は居ないでしょ」
葵(そうとも言い切れないのがこの世界だよ、TSの概念がある世界だよ、もっといろんな考えや性癖を持った人がいてもおかしくない)
碧「それは…そうかも」
こんなことを考えだしても仕方がない。別に人と関わることだけが青春なんじゃない、学生だから学業も大事。もうすぐ中間テストがあるし、まずはそこでいい順位を取るところから…ね。
碧「と、いうわけで、テスト勉強をしようと思ったんだけど、正直授業で全部理解できちゃってるから、あまりする必要性がないのよね」
葵(それはどうなん?、良い順位取れるなら良いと思うけど)
碧「でも、一旦何を勉強するっていうの?、全部理解出来るのに、無駄な時間は使いたくないわ」
葵(……県内、いや全国で見ても有数の進学校のはずなんだけどなぁ…まぁ俺もこの程度なら簡単に理解出来るけど)
地頭がいいところが裏目に出たのか、お勉強シーンが全く入れられないじゃないか!、これ以上することもないし…
「…ね、ねぇ」
碧「ん、どうしたの」
話したことのないクラスの女子が、急に話しかけてきたのである。
「その…いきなり話しかけてこんなことを言うのは気が引けるんだけど…テストの範囲と言うか…テスト勉強一緒に…私に教えてくれないかなって、あ、ごめんね!、何か用事があったり、別で約束してたら全然大丈夫だからね!」
…いいかも、自分で理解するのと、それを人にわかりやすく説明するのとでは、必要なスキルが若干異なる。それに…
葵(人に教えること、それは他人にも伝わるように、わかりやすく言語化しなきゃいけない、その作業は、自分の知識の定着にも役立つものよ)
碧「いいわよ、おーい、早乙女さーん、一緒に勉強会しなーい?」
早乙女「いいよー!」
早乙女さんから了承を得たので、放課後図書館で勉強会をすることになった。
碧「そういえば、名前聞いてなかったけど、あなたは?」
加賀「あ、私ですか!?、その、私は
碧「加賀さんね、覚えたわ」
加賀さん。見たところ落ち着いた印象で謙虚な女の子。ちょっと引っ込み思案なところがありそう。早乙女さんが、元気で人とのコミュニケーションを積極的に取りたがる子だから、印象としては反対に位置するかもね。
碧「それじゃ、始めましょうか」
中間テストまで、あと二週間。初めてのテスト、その勉強会が始まった。
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あとがき
加賀さんは、まぁいわゆる普通の高校生枠です。というか、この二人がおかしいんです。この世界は普通とは違うファンタジー要素を含んでいることを加味しても、普通こんなに錚々たるメンツは揃いませんし。まぁお話の都合上というか、すごい人が集まる場を描いてるというところでしょう…。まぁ、それは、いいことばかりとも限りませんがね。
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