第6話 昭和62年司法試験 つづき

※取扱い注意 過去問の難問の解答例です。中学2年に大学院レベルのものをみせています。

 中学2年に数学の青チャート、赤チャートの応用問題部分をみせている、といった具合でしょうか。


昭和62年・刑法第2問

問題文(特別法は論じない ※司法試験六法には覚せい剤取締法ははいっていない 実務的には覚せい剤の営利目的譲渡となると上限無期懲役なので死刑求刑のときには覚せい剤についても起訴するように思われる事案である))

 暴力団員甲は、密売人Aから覚せい剤を騙し取ろうと考え、Aに対し「400万円で覚せい剤一キロを売ってくれ。代金は10日後に払う。」と嘘をつき、Aから覚せい剤1キログラムを受け取った。約束の期日になっても甲が代金を支払わないので、Aは、甲に対し「400万円を払え。払えないなら覚せい剤を返せ。」と強く要求したところ、甲は、この取引を知っているのは自分とAだけであることを奇貨として、Aの要求を封ずるためAを殺害した。

 甲の罪責を論ぜよ。


1 甲がAから金を払う気もないのに400万円を10日後に支払うといって覚せい剤1キロを騙し取った行為は、詐欺行為により相手方が錯誤におちいり、財物の交付がなされ、それが客観的には因果関係、主観的には故意により包摂されているので詐欺罪(刑法246条1項)が成立すると解する。

 ここで覚せい剤は禁制品なので、所持を禁止されるものであり、財物性が欠けるのではないかが問題となるが、禁制品といえども法的な適正手続にもとづいて没収等されるまでは所持できるのであって、財産罪の客体である財物たりうると解する。

2 甲がAを殺害した行為は殺人罪(刑法199条)にあたるが、さらに、400万円の債権を免れるためであり強盗利得罪を解しての強盗殺人罪(刑法240条)たりうるか。 まず、故意の強盗殺人については刑法240条に含まれると解する。そうでないと殺人罪に故意がない場合のほうが重く処罰されることになりかねないし、文言上も結果的加重犯の身を意味する『因って』がないからである。また、未遂既遂については殺人の既遂で既遂罪になると解する。強盗の機会における残虐な行為防止という法益保護の趣旨から生命重視をすべきだからである。

 次に強盗利得罪について他の利得罪との権衡上被害者の処分行為が必要が、については、強盗罪については処分行為がなしえないほど意思抑圧がなされることはままあることであるから、処分行為は不要と解する。

 処分行為不要でも、債権が移転または消滅したといえるためには承継するものがあらわれない秘匿性が必要である。本件はこの点はあいまいではあるので、利得については未遂にとどまっていると思われる。しかし、前述のとおり殺人が既遂であるので強盗殺人罪とては既遂である。

 さらに禁制品取引の公序良俗違反の金銭債権が利得罪の保護に値するのか問題となる。なるほど、本件は詐欺被害の状態犯の状態を維持しただけともいえ、公序良俗違反の債権は裁判上は請求しえないのであり、結果無価一元説あるいは行為無価値結果無価値に原説でも結果無価値に重点をおけば、財産罪の保護を与えるべきでないとも考えられる。しかし、私は、二元説であること、行為態様による刑罰の差異がある日本刑法の解釈として自然であること、行為は主観と客観の協同であること、主観的に400万円支払を免れる目的のための殺人であることから、行為無価値で強盗の行為規範違反といえること、覚せい剤没収等の前にはいったんAに返還される利益もありうるという結果無価値を考慮した場合は、さらなる債権侵害として強盗利得罪が成立しうると解する。

 そこで強盗利得罪を解した強盗殺人罪が成立する(刑法240条前段)。。

3 結論

以上より詐欺罪(刑法246条1項)、強盗殺人罪(240条前段)が成立し、両者は併合罪(45条)となる。


 おばさんがプリントアウトしてくれて読んでみたが、自分は何がかかれているのかさっぱりわからなかった。

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