はさぶさ
your clown ユピエロ
第1話
今日から通う学校の門に目を通す。どこか廃れていて少し古くさい雰囲気を醸し出している。
俺、小沢純弥(おざわ じゅんや)は今日からこの高校に通う新生徒だ。
中学ではいつも教室の隅で友達と趣味に着いて話し合っていたがほとんどの者は他の高校に入ってしまった。正直、偏差値が高いと言う理由うだけで学校説明会にもいかずに試験を受けた事を後悔している。
ただ、そんな俺にも着いてきた親友がいる。
杉下雪彦(すぎした ゆきひこ)、顔は程よく整っていて髪は少しロン毛が入った茶髪。正直イケメンと認めざるをえない。
天は二物は与えない、二物以上を与えている。
「純弥、今日からもよろしくな」
「ああ」
彼とは小さい頃からの知り合いで、いつ知り合ったのかは記憶が曖昧で確かな事が言えない。
正門を越えて昇降口につくと壁にクラス分けと番号が振られてあった。
俺は2組で教室は校内地図を見る限り2階の最奥のようだ。因みにこの学校は4階建てで学校の周りに高い建物が無いので屋上からの見晴らしは最高だそうだ。
純弥の方を見ると彼も同じクラスだったらしく一緒に向かうことになった。
教室に着くと純弥とは別れ指定されていた席の下に行き机の脇にバックをかけ、椅子に座る。席はアニメや漫画でよくある主人公席ではなく窓側の一つ隣、列では三番目で、後ろに二列ほど続いている。
今日からこの席で一学期は過ごすので良い席を取れて少しホッとしている。もしこれが廊下側の一番前の席だったとしたら光の反射で黒板が見えず悶絶していただろう。
そんな事を考えていると、チャイムが鳴り恐らく3年間お世話になるであろう担任の先生が入ってきて軽い自己紹介と学校の決まりに着いて話し初めた。
「――以上これらのことに注意しながら一年間他のクラスメイトと仲良くするように。ああそうだ、はさぶさと言う言葉は使わないように。また、はさぶささんには近づかないように。」
先生の言った事は殆ど気に留めていないので正直どうでうも良い。
そう言った先生は職員室へ戻っていった。
次は全校生徒による歓迎会らしい。
俺達は再度自分の服装がき崩れていないか確認をして体育館へと向かった。
体育館へと向かう途中で他の新入生との混雑があったが別にこれといった問題は起こらなかった。
少し気になった事があるとすれば、窓も扉も空いていないのに生ぬるい風が一定の風量、風速で絶え間なく吹いてきたことぐらいである。恐らく目の届かないどこかに隙間があるのだろう。
結論から言うと新入生の歓迎会はただの時間の無駄だった。
校長、生徒会長の意味の入っていない上っ面だけの言葉を10分ほど聞かされた。
興味がなさすぎて寝かけたが初日から寝てしまうと不良生徒と思われるのは印象が悪いから他のことを考えながら過ごしていた。
因みに雪彦はちゃんと聞いていたようで話の中のキーポイントを俺に教えてくれた。
勿論教えられた数秒後には頭蓋から外へと処理されたが。
教室に戻ると担任の先生と複数人の他の新入生がいた。
他の新入生は元からの知り合いなのか既に仲良く話し合っている。
新入生歓迎会が終わった後の10分休憩を有意義に使っているようだ。正直お前はどうなのかと問われると何も出てこないのだが。
自分で自分を惨めにして気分を害したので気分を切り替えるためにバックから小説を取り出す。
この小説は近くの本屋で売っていたものをたまたま見かけ興味が出たので買った本である。
興味が出て買ったこの本は以外にも面白くいつの間にかファンになっていた。
熱中というのは恐ろしいものである。
本を熱中しながら読んでいるとクラスメイトが全員集まったのか先生が指示をして自己紹介というレクリエーションとなった。
順調に自己紹介は進んで行き、とくに面白みもなく終わってしまった。
因みに今日は入学式が終わった後は新入生はフリーらしい。
いち早く友達やグループを作り話す者たち、部活動に興味があるのか部活動見学に行く者たち、多種多様だが正直どれにも興味がわかなかったのでバックを持ち廊下へと出る。この後は家で趣味の読書や絵描きをするだけだ。
そうして廊下を歩いていると後ろから肩を組まれた。誰のかと思い横を見ると雪彦だった。
「初日から一人で帰宅なんて言うなよ。俺も一緒に帰る」
「良いのか、クラスメイトとの交流とか部活動見学とか」
「良いんだよ。そんなものは何時でもなんとでもなる。ただ、お前が一人で帰るのを二人にするのは今、俺しか出来ないからな」
「昔から性格が良すぎるって言われてるだろ」
「勿論」
全く。雪彦はルックス、性格共にイケメンときた。これでまだ彼女がいないのが驚きだ。女全員目が節穴なのかも知れない。
そんな事を考えなが階段を降りる手前の廊下からまた生ぬるい風が吹いた。
まだ4月の初めだというのに少し暖かすぎる気もしないが。それを雪彦も感じっとたのか廊下の奥を見る。ただ勿論そこには誰も何も存在していなく、ただ壁と閉じた窓があるだけだった。
学校から帰り部屋へとたどり着くとすぐに布団にダイブする。
登校初日だからだろか、やりたいことがあるはずなのに段々と瞼は目をおおい初めて意識も朦朧としてきた。
これはいけないと思いせめてもと制服から着替えてもう一度布団に身を任せる。
すると今度は先程より強く睡魔の誘惑が襲ってきて俺はその誘惑に負けてしまった。いや最初から負けていたのかもしれない。
夜、時計を見るとまだ8時であった。どうやら初日から生活リズムを狂わせる愚行はしなくて済みそうだ。
部屋から出ると母親が作ってくれた夕食を食べ風呂に入る。
全てのやることを済ませて部屋に戻る。再び布団に入って寝ようとするが先ほど寝ていたために眠気が襲ってこない。ただ一応何時でも寝れるように布団へとは入っておいて本を手に取り読み始める。
1時間は経っただろうか、体のというものは不思議で眠気が黄泉の国から蘇って来た。
そうして寝ようとすると家の外から音が聞こえてきた。
―――カラカラ、ザー
いつものような車が通る音では無い。寝る前の幻聴だろうか、ただそれにしてははっきりと聞こえてきた。
そんな事を考えているとまた再び聞こえてくる。
――カタン、カタン、カッ
先ほどとは違う音だが恐らく同一の人物により発生した音だろう。
ただこの音が妙に不気味だった。好奇心が湧いてきて体を動かそうとすると体ピクリとも動かない。まるでその音の正体を知るのを体拒んでいるかのように。
そしてまた音が聞こえる。
―ザー、ザー、カラカラカラ
―カタン、カタン
三度目で分かった事がある。近づいてきている。まだ遠くから聞こえてくるが先程までは好奇心に満ちていたのにそれは既に消えていた。
体から変な汗を吹き出し震える。まるで恐怖をしているかのように。
俺は言う事の聞かない体を無視し目線だけを窓に向ける。幸い窓は閉まっていて鍵もかかってあった。
今、自分の身に起こっていることにようやく理解が追いついた。
俺はこの得体のしれない音に恐怖している。何故と聞かれればわからないと答えざる終えないが不思議と分かってしまう。
この音の音源は自分に害を及ぼす、いや害という類では無い。言葉では表せ無いほどの恐怖かもしくは絶望を与える存在だということを。
キューキュー
肺が潰れていたのがようやく分かる。肺が潰れた事が自分でも気づかないほどの恐怖を感じていた。
この出来事は明日、雪彦にでも話してみるのが良いだろう。
そこからは一切の音をたてないように注意を払いながら瞼を閉じた。
この時、俺の体はぐしょぐしょに濡れた事は朝になって起きた時に気付いた。
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