肉體時計
加賀倉 創作【FÅ¢(¡<i)TΛ§】
その円盤や箱の中に、時は存在しない
真夜中、トイレで目が覚める。ちなみに今は、何時だろう?
いや、やめておこう。俺は手を引き戻す。たまには、自分の頭で、今何時何分か、導き出してみよう。
まだ
待て、よ……。俺は気づいてしまった。そもそも、こんな数字の推理をするなんて、誠にけしからんことだ。なぜなら、そもそも時計の示す数字はお飾りに過ぎない。大事なのは、さっきまでの眠りが俺にどれほど回復と安らぎをもたらしたのか、そして今世界は──太陽は、空は、鳥は、空気は、暖かみは、湿気は、風は、草木は、山は、海は──どんな、か、そういったことだ。俺は忘れかけていた大事な何かたちを思い出した。思い出したぞ! 何時に起きて、何時に家を出て、何時の電車に乗って、何時に乗り換えて、何時に目当ての駅に着き、何時に職場について、何時に始業、何時に会議、何時に商談、何時に昼休憩、何時までに書類完成、定時は何時で飲み屋に何時、なにかにつけて、何時、何時、何時だ! 時計に、数字に、頼り過ぎなんじゃあないのか? もっと言えば、俺たち人間は、数字に支配されているんじゃあないのか? 本来は体内時計ってものが、人間の体には備わっているだろう? そのおかげで、世界という無限の循環は今どの状態にあるのか、自分はどんな状態の世界に身を置いているのか、なんとなく、わかるのだ。だがあのにっくきマシンに侵されたままでいると、ひょっとするといずれはそれ──体内時計を、体は不要と
俺は五感を研ぎ澄ます。
いや、
まず、音がした。
ブルルン、と低い唸り。
新聞配達の駆る
知ってるぞ、彼らの朝は、
つまりは、今三時から四時の間だろうという推理は、あながち間違いではないのではないか?
待て待て待て!
まただ!
数字に支配されている!
俺は今無意識のうちに、一、二、三、四、五と順に数を数えてしまっていた!
なんと恐ろしい。
だが……
もう、わかったぞ。
難しく考え過ぎていたのだ。
そうだ、これでいい。
これだけ、だ。
夜明け前だ
窓の手前のひだ布から、
俺は限界突破直前の
すっかり
肉體時計 加賀倉 創作【FÅ¢(¡<i)TΛ§】 @sousakukagakura
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます