第三章 間章2 現地の魔法──術式という技術
この世界の魔法使いたちは、単に力をぶつけ合うのではなく、
「術式」と呼ばれる体系化された技術で魔法を扱っている。
以下は、その主な種類だ。
・詠唱術式
声に出して呪文を唱えることで魔力を導き、魔法を発動させる、
もっとも古典的で広く使われている術式。
呪文の言葉には意味と力が宿っていて、それを正しく唱えることで魔力が反応する。
詠唱の長さや内容によって、魔法の威力や性質を細かく調整できるのが強み。
ただし、詠唱の途中で妨害されれば、その魔法は失敗に終わる。
・紋章術式
あらかじめ描いておいた「紋章」に魔力を込め、必要なときに発動させる術式。
紋章は魔法陣や印のようなもので、地面や物体に刻まれることが多い。
事前に設置しておけば、瞬時に魔法を発動できるため、罠や防衛に優れる。
ただし、紋章そのものが壊されてしまうと、魔法も無力化される。
・ 召喚術式
異なる存在──精霊や魔獣、あるいは異界の何かを呼び出して使役する術式。
契約や召喚陣を通じて、召喚対象をこの世界に具現化する。
呼び出した存在は強力な力を持つことが多く、攻撃や補助に万能。
その代償として、使用者の魔力だけでなく、
命や記憶といった「何か」を支払う必要があることもある。
また、相手によっては制御が困難になることも。
・ 符術式
「符(ふ)」や「札(ふだ)」と呼ばれる紙片に魔力を封じ込めておき、
それを用いて魔法を発動する方式。
符は一種の携帯式魔法道具で、戦闘の最中に素早く魔法を使いたい者に好まれている。
あらかじめ魔法を仕込んでおけば、即時発動が可能で隙が少ない。
ただし、札が燃えたり破れたりすれば魔法は発動しない。
・ 精神術式
相手の精神や感情に干渉する、繊細かつ危険な術式。
思考を読み取ったり、感情を操作したり、時には支配することも可能。
相手との精神的なリンクを通じて魔力を流し込むため、直接触れずとも効果が及ぶ。
ただし、強靭な意志を持つ者には通じにくく、
術者自身の精神が揺らげば反動を受けることもある。
・構築術式
魔力を使って物質や構造を直接作り出す、まさに「創造」に近い術式。
地面に障壁を作ったり、空中に足場を出現させたりと応用の幅が広い。
特に、防衛や罠の設置、あるいは一時的な建築などに活用される。
ただし、術者には高い集中力と大量の魔力が求められる。
応用すればするほど疲弊も激しくなる。
・無属性術式
どの属性にも属さない、純粋な魔力の流れをそのまま扱う術式。
炎や水といった自然の力を借りず、「魔力そのもの」を操作することで、
極めてシンプルな効果を引き起こす。
魔力の刃や衝撃波、あるいは反魔法の障壁など、素早く応用できる技が多い。
ただし、自然属性の力を借りない分、威力や範囲に限界があり、
術者の制御力が問われる。また習得の前提として、
魔力に対する絶対的な中立感覚と論理を凌駕する想像力が求められる。
魔力という存在
この世界では、魔力は空気のように満ちているエネルギーの一種だ。
人によって魔力の総量や扱いやすい属性が異なり、それが個人の魔法の傾向を決定づける。
魔力の源は多岐にわたり、自然界の流れから精神力、
時には失われた古代文明の遺産まで及ぶ。
魔力を使えば疲弊し、体力とともに消耗する。
だが、十分な睡眠や深い瞑想によって回復することが可能だ。
一時的であれば中級のポーションでも回復が可能。
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