青春の魅力がたっぷり味わえ、とにかく心を満たされる作品でした。
池本直哉は同じクラスのギャル天音瑠羽(あまね・るう)から曲を作って欲しいと頼まれる。かつて「トライエッグ」という名でボカロPの曲を発表し、名を馳せていた直哉。しかし、「とある理由」から音楽からは離れることになっていた。
軽音部の瑠羽は部活紹介のために曲を欲しがっていたが、最初は断り続けていた直哉。次第に彼女を放っておけない気持ちになり、一緒に過ごす時間も増えるようになっていく。
本編はなんといっても、「青春の空気感」みたいなものがしみじみと伝わってくるのが魅力でした。
一生懸命なギャルと、才能はあるけど陰キャな少年。二人が手を取り合うことで、「青春」という時間に大きな変化が起こり始める。
何かが起こりそうという昂揚感とか、一生懸命に何かに打ち込んでいく充実感。高校時代ってものには、こういう手ごたえが確かにあったなあ、と読んでいてしみじみと感じさせられました。
直哉のボカロP時代の知り合いである凛香にまつわるエピソードもまた心を揺さぶられ、ぐいぐいと先へ先へと読み進められます。
イベントとして描かれる海辺の夏合宿や花火大会とか、夏の香りが漂う雰囲気も最高。
「ぼっち・ざ・ろっく」とか「その着せ替え人形は恋をする」とか、「四月は君の嘘」とか。青春アニメの名作の数々と通ずる雰囲気もあって、その手の作品が好きな人ならばハマること間違いなしです。
キャラの魅力、関係性に変化が出る展開の巧みさ、そして読ませる文章。一回読み始めたらもう止まらなくなります。
「青春」というものをしっかりと味わえる作品、オススメです!