あの夏を思ふ
小烏 つむぎ
あの夏を思ふ
ギラギラと白む風景 その中で
浮かぶ君の手 自転車を押す
誘われてふたりで帰る通学路
蝉しぐれにまぎれ 呟いてみる
す き
背中越し 近づく気配の君のゆび
知らぬふりして 待ちわびている
ほうと吐く 吐息 湿度の高きこと
触れるゆび 重なる視線
重なる手
傘に隠れて 重ねる吐息
白無垢にしようか ドレスがいいかしら
どちらも似合うと君が微笑む
縁側の蚊やりのけむり ゆらゆらと
爪切る君の肩に ほほ 寄す
白米の炊ける匂いに口おさえ
君の土産は 大量のレモン
青空に登るけむりを見送りて
うそつき
と 五回 呟いてみる
とうきびに齧りつきたる幼子の
爪の形に 君が面影
あの夏を思ふ 小烏 つむぎ @9875hh564
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