洋式トイレが魔王城にしかないらしい

あおかばん

第1話 賢い俺による賢いアドバイス


  自己紹介をしよう。

 初めまして。臥楽木がらくきと呼んでくれ。

 変わった苗字だが、覚えてくれると嬉しい。


 

 趣味は整うこと。

 

 だが暑いサウナが苦手なので、代わりに『純情系青春マンガ』と『黒人ネトラレ同人誌』を交互に読んで整えている。

 交感神経が刺激され心地よいから真似してみてほしい。

 


 

 私は頭脳明晰である。

 そんな私から、ひとつアドバイスをしよう。

 戦国時代であれば織田信長を蹴散らし、江戸時代ならば徳川家康を蹴散らし天下をとっていたであろう私が、若人でもあり同郷である日本人の君へのメッセージだ。

 それはたったひとつの厳守すべきルールである。

 


 




 


 

「加熱用の牡蠣は生で食うな」





 



 

 なお『当たり前だろバカ』なんていう陳腐な批判は聞き入れられない。

 




 待ちたまえページを捲るのが早い。

 それほど見切ってどうする。まだ本編にすら入っていない。

 

  

 

 こちとら天下人ぞ?

 

 だいたい、わたしは賢い。

 加熱用の牡蠣を生で食べるべきではないのは当然知っている。

 

  

 あえてこれも言わせてもらおう。


 慌てるなバカ。


 人の話は最後まで聞け。

 

 まぁ確かに、突然他人が「加熱用の牡蠣を生で食べるな」と言われてもほとんどの人間から同じ反応が返ってくるだろう。

 


 だからこそ、アドバイスのあとにどうしてこれほどのことを他人へ助言するのか、という経緯を知ってほしい。

 

 俺は世界中の誰にも、同じ危機に陥ってほしくないし、もし同じ悲しみをもつ人がいるならば共有し涙を拭いてあげたい所存なのだ。


 話はおおよそ、二時間前に戻る。 

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洋式トイレが魔王城にしかないらしい あおかばん @Mizoxx

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