第3話

 夜の色が、昨日よりも暗い。どんどん暗くなっていく。


 立ちんぼしながら、夜を眺める。

 煙草が吸えたら楽しいんだろうけど。吸えない。なんか煙いから。酒も酔わないので意味がなかった。結局、立ち尽くすしかない。


 彼。来ない。死んだか。


「右橋清髙」


 どうでもいいけど、思い出した。彼の名前。右の橋の清くて髙い。ただの薄汚れたごろつき。どうせ偽名。


 なんとなく、いつも彼が来る方向を見る。


 ロータリーの左だった。左の橋から来るじゃん。いつも。


 ばかみたい。

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