この世界線は、現代で囁かれているような『多様化』なるものよりもかなり進んでおられるようでして、
異星からのお客様も同居しているような、そんなSFな世界感でございます。
異星人の姿は、ウルトラなもに近いのでしょうか。いわゆる怪獣でございます。
……モンスターチルドレン、モンスターペアレンツならぬ、モンスターご近所さんですな。
主人公は、偶然こういった怪獣が好きだったようで、言葉も習得し、
ご近所様や同年代の怪獣の子供とも、偏見なく良好な関係を築いていたのですが、
ご近所さんの家まで回覧板を渡しにいき、お茶をいただいてる時に御座いました。
この怪獣の家にて……『あるもの』を見つけてしまうので御座います。
その『あるもの』の正体とは……。
ここからはメタい感想になっていくのですが、
この物語は、高い才能を持つものを一種の『怪獣』と比喩した……のではないでしょうか。そう考えると、面白おかしくほっこりする物語なのに、
ラストがとてもとても切なく見えてしまいます。
いずれにしても、この物語はとんでもないですよ!
感動してしまいました。
是非! 是是非!!ご一読を!!
強くお勧めいたします!!
もしかして、何か「怖いこと」が起こっちゃう感じ?
途中展開でそういうことがチラリと頭をよぎりました。
主人公の結菜ちゃんは「怪獣」が大好きな女の子です。本作の世界では、地球が「星間連合」に加わって、多くの異星人が地球にやってきている時代が描かれています。
異星人の中には怪獣そっくりな姿の者もおり、「怪獣が大好き」な結菜はそんな異星人のフローリアさんたちと仲良くしたいと思っている。
そして「回覧板」を渡しに行く用事ができたので、これ幸いとそのお宅を訪問することに。
その先で、彼女は偶然に「あるもの」を見てしまう。
ここからがSFの見所です。「異星人」と言えば、地球人とは考え方も違うだろうし、異なる科学技術を持っている可能性もある。地球人にとっては残虐極まりないようなことでも、彼らにとっては「普通」のことかもしれない。
……なんてことが、読みながらフワッと頭の中に浮かびました。
もしや、そんな特性が絡んできて、これから怖いことが? と。
そう思ってしまう辺り、グリム童話の「青髭」みたいな物語の類型に毒されていたのかもしれません。
「良く知らない家」の中で「そっとある部屋の中を見てしまう」なんてこと。それは「禁忌」を破ることに繋がり、ホラー展開になるに違いないと。
でも、現実には違う。「見られたくないもの」って言ったら、「そっち」じゃなくて「こっち」が大多数だよね、と。
そんな盲点を突いてくるオチに、共感性MAXでした。
この後の結菜ちゃんが「彼ら」とどう付き合っていくのか。その後の話を想像するとニヤニヤさせられます。