カースト上位に君臨する雨宮ちひろは陰キャな有馬君を愛している

七瀬いすず

プロローグ 

 ある晴れた日の出来事だった。

 私こと雨宮ちひろは、とある男子と入籍した。その相手というのが、学校で陰キャと呼ばれている男子で、名前は有馬一哉かずや。見た目は暗く、物静かで何も話さない。性格は、何でも遠慮しがちで積極的になれず億劫おっくう。私と正反対だ。


 「雨宮さん、おはよう」

 「おはよう」

 

 現在、アパートでふたり暮らしをしている。毎日、有馬君がごはんを準備してくれるのだけど、そのクオリティの高いこと。どっちが奥さんか聞いてみたくなるほど、有馬君の家事スキルは高い。

 

 「今日はフレンチトーストにしてみたんだ。どうかな?」

 「美味しそうだね。私の好物、覚えていてくれたの?」

 「うん、まあ」

 

 朝からフレンチトーストが食べられるなんて最高。早速食べようっと。


 「では、頂きます!」

 「頂きます」


 陰キャだけど、家事スキルが高い。それに勉強もできる。馬鹿な私と正反対だ。けど、有馬君は目立たないようにしている。

 何で自分に自信が持てないのか分からない。あ~、何でなんだ!


 「どうしたの? 頭を抱えて」

 「え? あっ、いや、何でもない!」

 「そう?」


 有馬君の前で何をしているんだ。恥ずかしい!


 「あっ、美味しい。めちゃくちゃ美味しいよ!」

 「そう? ありがとう」


 まるでカフェのフレンチトーストを食べているみたいだ。これはお店で出しても良いレベル。有馬君、マジで神。

 

 「ご馳走様でした」

 「お粗末様です。片付けるね」


 あっという間に平らげてしまった。

 有馬君が作った料理はいつも美味しく、クオリティが高い。以前食べた豚汁なんかも最高に美味しかった。今晩のおかずは何だろう。楽しみだ。


 「雨宮さん、早く着替えないと遅刻するよ」

 「あっ、そうだった! それじゃあ、着替えてくるよ」

 

 私は急いで制服に着替え、メイクをバッチシ決めて学校に向かった。

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