魔導書グリムと
流川流三
頁1 グラタン
グレイブフィスト マネジ
厳しい寒さの冬を超え、ここデュセイ国、キューブ市の『ドロシー集合墓地』においても桜が舞い一面桃色の絨毯が広がっている。
ミノフールの桃色の吐息が桜の花びらを舞い上げる中、墓場の奥に鎮座する黒い洋館の玄関が開かれる。
「師匠、それでは行ってきますからね!いい加減起きて朝ごはん食べてくださいよ!」
白髪混じりの金髪を腰まで届く三つ編みにした長身の男。もといエルフの男、マネジはそう言って玄関を閉める。
ため息をつきマネジは墓場の真ん中を突っ切っていく。
マネジは想う。師匠達との楽しき日々を少し離れる寂しさ、慣れ親しんだこの地を離れる億劫さ。
そしてそれらを超える圧倒的開放感。
師匠のコマ使いの日々から逃れられる。マネジがエルフであるにも関わらず齢800にして、白髪混じりとなっているのは師匠達に与えられるストレスが原因である。
要は慰安旅行の一種である。
更に新しい魔導書作成の旅である。どんな魔導書が書けるか、旅の道中どんな出会いがあるか。期待とワクワクで胸がいっぱいである。
(旅の仲間も1人か2人追加してみようか。まずは酒場へ向かおう)
マネジはそう思い墓場から旅立った。
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