貞操観念逆転世界なのにうっかり勢い余って恋人募集しちゃった時の対処法
カラスバ
第1話
貞操観念が元々俺が生きてきた世界のそれと真逆になっていると明確に感じた事はない。
ただなんとなくいろいろな意味で女子達に遠慮がないし、ていうか男子の数が圧倒的に少ない。
男女比というと1:200くらいなんだとか、マジかよ。
それだけ比率がバグっていれば価値観などいろいろと変わってしまうのは当たり前だと思うし、そして転生者の俺は少ない方の性別だったのでいろいろと転生――異世界転生と言ってもいいかもしれない――の影響をもろに食らってきていた。
というのも、男性というのは文字通り貴重な存在だったので基本的に危ない事はさせてもらえなかったし、何ならほぼ「保護」みたいな扱いを受けていたと言っても過言ではない。
ただ、絶妙なのがこの1:200という比率。
確かに比率としては狂っているの一言だが、とはいえ「全然いない」という訳ではない。
だから、この世界の男性は女性から特別扱いされてはいるものの世界自体が男性を特別扱いはしない、という塩梅になっていた。
……いや、いろいろと男性有利になっていたりはしているけれども、ほぼ誤差みたいなものだった。
まあ、そんな訳で社会の倫理観的に俺は守られる立場ではあったが、とはいえ社会の仕組み的には守られる立場ではない、という感じ。
それで何が困るのかというと、ぶっちゃけてしまえば俺は今までずっとボッチだった。
これはどういうことかというと、女性たちはみんな「うっかり間違って貴重な男性を傷つけてしまったらどうしよう」みたいなことを考えているみたいで、全く俺にかかわりを持とうとしてくれなかったのだ。
いや、大切にされていたとは思う。
物理的に距離を取られてい――たけれども、とはいえ隔離はされていなかった。
それ以上に精神的な距離がどうしようもなく離れていたので、俺は結局今の今まで友達というものがなかった。
悲しいなぁ……
そしてそれは高校二年生になってもなお続いていて、それなりに努力して東京の進学校に入学したあとも俺はボッチだった。
なんていうか頭が良い、勉強が出来る奴らだったらもしかしたら違う扱いをしてくれるんじゃと漠然と思っていたのだったが、しかしどうやら違かったらしい。
いや、結構頻繁に話しかけてくれてはいる。
重いものを持とうとしたら「代わりに持つよ!」と言ってもらったりとか、まあ、そんな感じに……
「はあ……」
ため息も出る。
そしてそんな風にため息をクラスで吐くとみんなびくっとして俺の方を見てくるのだから困る。
いや、なんでもないっすただアンニュイになってただけで。
「……」
なんていうか、俺も二週目の人生だったけど。
なんだかんだやはり、青春っぽい事をしたかったなーと思う。
友達と遊んだり、駄弁ったり、一緒に帰ったり、休日に遊びに行ったり。
あとは、まあ、高望みと言われてしまえばそれまでだけど。
「恋人とか作りたいなぁ……」
その時、世界が揺れた(ような気がした)。
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