第18話 「お呼ばれ宅配料理!? “隠し味”がママ会でバレかけて――」




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「美咲さーん!これ、お願いできないかしら~?」


金曜の午後、美咲が洗濯物を取り込んでいたところ、家の前に現れたのは近所のママ友・ひとみさんだった。


「明日のお昼、うちで小さなママ会するの。もしよかったら、またあの“卵焼き”とか、“お惣菜セット”を……!」


(お、お惣菜セットって……それ、もう“宅配”扱いじゃん!)


しかし、ひとみさんの笑顔には悪気も遠慮もなかった。


「もちろん、お金はちゃんと払うわよ!むしろ払わせて!」


「……う、うん。じゃあ簡単なものでよければ」


「助かる~!やっぱ美咲さん、プロよねぇ~」


(……主婦だけどな……)



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✦ メニュー決定!でも“素材”どうする?


冷蔵庫を開ける。今日の在庫は十分。


ダンジョン卵(ふわとろ仕上げ)


あの甘みの強い赤人参


紫とうがらしのような香味野菜


そして、アレ――“味の決め手”の白い粉末出汁



(ダンジョン素材バレちゃまずいけど……)


美咲は少しだけ悩み、結局“いつもの出汁”を極少量だけ使うことにした。

「本当にちょっとだけなら、バレないし」と自分に言い聞かせる。



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✦ 翌日:宅配ランチ、無事お届け……のはずが?


翌日11時、ひとみさんの家に届けたのは――


ふわとろだし巻き卵(ダンジョン卵+微量粉末出汁)


紫香味野菜ときのこの甘酢和え


赤人参のグラッセとおにぎりセット



全体的に“素材重視だけど、ほっとする”ラインナップだ。


ママたちは見た瞬間、歓声を上げた。


「これ写真撮ってもいい!?」


「色がすごい綺麗……!自然のものなの?」


「え、香りも、なにこれ……レストラン超えてるよ!?」


(た、食いつきが強い……!)


しかし事件は、そのあとだった。



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✦ ママ友・分析モード突入


まどかさん(情報通)がスプーンを持ちながら、目を細める。


「これ……ふつうの鰹でも昆布でもない。うま味、すごいのに全然舌に残らない。なに入れた?」


「え、えっと~、企業秘密ってことで……」


「ちょっと~、料理教室でレシピ渡してたくせに、これは企業秘密ってなによ~」


ひとみさんも笑いながら加勢してくる。


「やっぱ、あれでしょ? 美咲さん、自分で出汁ブレンドしてるのよね? 粉末とか?」


(あ、あぶない……!)


「まぁ、そんな感じ……っていうか、あの~、今日はただの“おすそわけ”だから、許して?」


全員が笑いながら納得してくれたが、美咲は内心冷や汗をかいていた。


(ダンジョン素材、地味に味が“強い”んだよなぁ……)



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✦ 帰宅後:家族との会話と、ダンジョンへの相談


夜。夕飯後。


「ママ、今日の“おかず配達”大成功だったんでしょ?」


「うん……でもちょっと危なかったかな」


「え、味で?」


「そ、鋭い人って、すぐ気づくのよね……異世界の味、たぶん普通の調味料じゃ出せないし」


その言葉に、大地も陽介も納得顔。


「じゃあ、別のブレンドを開発しないとね」


「異世界素材に似てる“現代素材”探し、手伝おうか?」


「え、ほんと?うれしい!」



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✦ ダンジョン側の協力:裏方たちも知恵を絞る


同じころ、ダンジョンの交易区。


リーノ、イリナ、マールが、美咲から送られた“食材サンプル一覧”を見ていた。


「え~と、現代の大根って、この“シャリ根”に似てるよね」


「でも、シャリ根のほうが辛みが強いから……逆に火入れ時間を増やせば調整できるかも?」


「これ、“白だし”って書いてあるけど、こっちの“霧魚の煮詰め”と近い!」


彼女たちも、完全に“美咲シェフの補助スタッフ”として動いていた。



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