第14話:「主婦、ついにダンジョン経済圏に参入!? 地下3層・交易所と新しい出会い」
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「……ここが、“地下3層”ってやつ?」
美咲は、地下2層の奥に現れた扉を開いた瞬間、まるで別世界に来たような錯覚を覚えた。
温かいランタンの光に照らされた石畳の広場。
道沿いには木製の屋台が並び、どこからか、パンのような香ばしい匂いと、ふしぎな香草の香りが漂ってくる。
(うわ……え、え? なにこれ、異世界の市場!?)
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✦ 地下3層「交易区画」は、ダンジョンと異世界の交差点
このフロアは、ダンジョンを介して異世界と繋がる“商業ハブ”らしく、現地の人間たち――どう見ても中世ファンタジーな服装をした住人たちが行き交っていた。
だが、屋台の陳列物を見てみると、
黒くて固そうな干し肉
味が想像できない紫色の穀物粉
謎のキノコ詰め合わせ
……と、美咲の主婦目線からすると、どれも調理未満の代物だった。
(素材そのまま!? これ、ほんとに食べ物!?)
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✦ 友好的な少年、登場:金髪の薬草売り「リーノ」
そんな中、目に留まったのは、小さなテーブルで草束を並べていた少年。
薄い金髪に、少し汚れたマント。だけど、目は真剣そのもの。
「……ようこそ、旅の方。ここで迷われましたか?」
「うわっ、しゃべった!? ていうか通じた!?」
「通じてます? あ、そちら様が翻訳の加護……いえ、魔術をお持ちかも」
(もしかして、《自動翻訳》スキルが仕事してる!?)
少年の名はリーノ。
この交易区で、薬草を集めて細々と生活しているという。
「でも、買う人は少ないんです。香りも強いし、使い方も……。食べ物に入れても、たぶん……おなか壊します」
「えっ」
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✦ 主婦、美容液で異世界にカルチャーショックを与える
「あの、これ試してみる?」
美咲は、ポケットから取り出した《光る花蜜のしっとり美容液》を差し出してみた。
リーノは一瞬びくっとしたが、手に取り、そっと頬に塗ってみた。
「……あったかい……そして、肌が……なんだこれ!? 水みたいにしっとりしてるのに、すぐ吸い込まれて……」
「保湿ってやつだよ。水分を閉じ込めて、肌が乾かないようにするの。主婦的には冬の必需品」
「魔道具でもないのに!? こんな技術……!」
リーノの目が、完全に星になる。
「それ、材料は“薬草”と“花蜜”と“鉱石の蒸留水”……って説明すれば、向こうでも作れるかも?」
「う、売ってください! 買います! 高くても!」
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✦ 異世界の感覚は「魔法>料理・美容」
話を聞けば、この世界では「美しさ」や「癒し」といえば、
ほとんどが《魔法》頼りらしい。
治癒魔法、幻影魔法、美肌の幻想など――。
「でも、魔力が必要なんですよ。誰でも使えるものじゃなくて……」
「じゃあ、こういう“誰でも使えるお手入れ”って、ないの?」
「聞いたこともないです。そもそも“手入れ”の概念が貴族ぐらいしか……」
(うわっ。これは……いける!)
美咲の中で、主婦センサーがビビビと反応した。
この世界、まだ“スキンケア”も“家庭料理”も、
発展していない。
(私、こっちの世界でも、もしかして――すっごくニーズあるかも?)
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✦ 最後に、お試し販売してみたら
その日、美咲は試しに《美容液》と、持ってきていた《スライムコラーゲン石けん》を2つずつ、露店の一角で並べてみた。
結果。
……即完売。
しかも購入者たちが口々に
「この“しゅふ製薬”ってなんのギルドだ!?」 「新種の魔道具!?」 「これは貴族にも流行る!」
と大騒ぎしていた。
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✦ 家に帰ると、ECサイトの通知が。
「……ん?」
その夜、美咲が自室でくつろいでいた時、スマホがぽんっと通知を鳴らした。
> 【Misaki's Drops】ご注文が入りました!
・新規購入:12件
・口コミ評価:★5が3件追加されました!
「……え、こっちの世界からも繋がってる!?」
ダンジョンを通じて、異世界とECがリンクしているという事実に、美咲は戦慄する。
(やばい、これ、規模が……なんかとんでもないことに……)
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