第4話「再出発」
その後皆と街を探索して、宿で休んだ。
翌朝。宿の玄関前にて
「よーし。全員揃ってるな。」
「うん!」
リチャードがガッツポーズをする。
「ファイヤシルバー地方に向かいますか。」
街を抜けると大きな草原が広がっている。
「もう、草も一部だけ黄色を帯びてきたね〜。」
「そうだね。もうすぐ秋か。」
「丁度、俺の修行する時が真冬にさしかかるからいいんじゃねぇか?」
「そうですね。たしか、ファイヤシルバー地方は冬でも暖かいと聞きます。」
「よかった〜。寒いと僕、風邪ひくからさ〜」
「風邪をひいたら私が薬を調合しますよ。」
「イレフありがとう〜!」
他愛もない話をしてると、ふと思った。
「ねぇ。グループになると、四人で2年回らないとなんだよね…?」
「そうですね。なので、修行ができる場所にとどまれるのは…。半年!?」
「えっ!?まじか!半年で全て修行内容を、クリアしないと行けないのか!」
「うわぁお。かなりきついね…。」
「半年…。それに、勇者のなんかも入ってきそうなんだよね…?」
「たしかにそうだわ…。俺達めっちゃハードじゃねぇか…?」
「だけど!僕たちならやれるさ!」
「リチャードさんの言うとおりですね。できますよ!きっと!」
「そうだな!」
「うん!!」
四人で拳を空に掲げる。
「まぁ…勇者って本当に何をすべきなんだろうな…。」
「ほんとにね〜。何すればいいんだろう…。」
「追々って感じでしたもんね。」
「口外するな。という感じだから余程のことだね…。」
「まぁ!半年で修行をクリアする俺達にとっちゃクリアできることだろ!」
ガイトが肩を組んでくる。
「そうだね!」
すると、後ろから大きな声が。
「おい!お前ら!!」
振り向くと、同年代の少年四人だった。
前に出てきたのは、金髪の緑眼の男の子だった。
「お前たち名前は?」
「僕ら…?」
「あぁ!それ以外に誰がいるんだよ」
「僕、スピカ」
「俺、ガイト」
「僕、リチャード」
「私、イレフ」
全員が名前を伝えると嘲笑うように言う。
「勇者がなんだか話してたが、お前たちには無理だろ。」
ガイトが前に飛び出す。
「なに!?」
「おいおい。勇者って話してるが勇者には勇者だけが持つ印があるんだよ。」
イレフがガイトに耳打ちする。
「コソッ…。勇者のことは絶対に口外してはならない約束です。うまくかわしてください。」
「へぇ〜そうなんだな。」
「そんな感じだとなに?お前たち勇者なのか?」
勘付かれた!と思ったら、口が先に動いていた。
「なんでそう考えるのですか?もし僕達が勇者なのなら、手の甲にマークが出るはずです。」
四人揃って右手の甲を見せるが、違和感はない。
「ないですよね。あと、突っかかってくるのやめてくれますか。」
「だがな。首元を見せろ。」
「嫌です。なぜ首元なのですか?」
「手の甲に現れず、首元に印が現れるんだ。見せろ。」
「嫌です。急いでいるので。」
とスピカたちは逃げようとしたが、手を掴まれる。
スピカの首元に相手の手が触れようとした時、ガイトが相手の手を払う。
「俺達のエースに手を出さないでもらえるかな。まだ、あんた達のこと知らないんだけど。急にちょっかい出されて迷惑なんだ。」
「何…?」
さっきの声のトーンから急に明るくガイトが言う。
「あっれ〜?もしかして…。友達になりたかったのか…?ごめんね〜。手を出す相手とは仲良くしたくないんだ〜。」
すごい相手を煽ると、相手の顔はみるみる赤くなっていく。
「うっさい!!黙れ!!!こんな事をした仕返しするからな!覚えてろよ!、ルイス・アルデンテ。お前らを潰す男の名だ!このグループのエースだ!」
と走り去っていく。
「あいつらなんだったの?」
「知りません。ただ、突っかかって来たかっただけでしょう。」
「はぁ…。ガイトありがとう。助かったよ。」
「いやいや、スピカがあそこでズバって言ってくれてスッキリしたよ。ありがとう。」
「いや…。僕は…口が勝手に動いただけで…。」
「スピカ〜顔。赤くなってるよ〜」
「えっ!?」
「俺等のエースが照れてる〜」
「あっ!あとさ!なんで僕がエース??」
「あぁ!そのことですね!それは…。」
修行にでる三日前。スピカ以外の三人は教会に集まっていた。
「おそくなった〜!」
「大丈夫だぜ!」
「大丈夫ですよ。残りはスピカさんのみ…。」
神父様が物陰から顔を出す。
「スピカ様は諸事情で来れないとの連絡が入っていますので、御三方で進めてください。」
「わかりました!それじゃあ、軽く自己紹介と行くか!じゃあ、俺からな!俺は、ガイト・ブラック。職業は鍛冶屋!」
「私はイレフ・ユナイト。職業は医者です。」
「僕はリチャード・フランシス。職業は騎士だよ。」
「スピカ・スターナイト様。ご職業は騎士と魔術師となります。」
神父様がスピカの代わりに自己紹介をしたら、三人とも驚いていた。
「「「職業二つ!?」」」
「はい。そのためと斯々然々で、グループを組んで行動してもらうことにしてもらいます。」
神父様が淡々と喋る。
「わかりました。斯々然々なのですね…。」
「まぁ、一旦置いておいて、なんとなくの個人の立ち位置だよな〜」
「そうだね〜。修行に出てすぐにモンスターとの戦闘となっちゃうと、対処ができないしね…。」
「私は後方で回復とかに回ったほうがいいと思います。ヒーラー…?って言うのでしょうか…?」
「そうだな。イレフがヒーラーなら…残り三人はアタッカーでいいと思うんだ。」
「いいとおもうよ!となると、一応グループで動くから、リーダーが必要だよね。」
「そうですね。私はガイトを推薦しますよ。」
「えっ!?」
「ガイトには人をしっかりとまとめて、周りをよく見る能力が長けているので。」
「うん!僕もガイトがいいかも!」
「そうか〜?じゃあ!お言葉に甘えてリーダーを務めるぜ!」
「おぉ〜!!」
「リチャードさんはどのような役割つきますか?」
「う〜ん…。僕は戦略とか考える人になりたいかな〜」
「おっ!めっちゃ助かる!!お願いしてもいいか…??」
「うん!!任せて!!これでもゲームで負けたことはない!」
「すごいです!!」
イレフが拍手を贈る。
「ありがとう!」
リチャードが照れくさそうに言う。
「そうなると…スピカはどうする…??」
「ガイト様。スピカ様ならエースの役割はいかがでしょうか?」
神父様からの提案を三人共受け入れる。
「「「いいね!!!」」」
「ということで、スピカさんがエースになった理由です。」
「神父様…」
「まぁ!いいじゃねぇか!!」
スピカの肩を強く叩く。
そういう他愛のない話をしながら歩く。
夕暮れ時には、ファイヤシルバー地方に到着していた。
「「「「ついた〜!!!!!」」」」
まず最初にファイヤシルバー地方の教会に向かう。
「すいませ〜ん!!」
すると、奥の方から出てきた神父様…?
神父は基本的に男性に現れる職業だが…綺麗な若い女性が出てきた…。
「はじめまして!」
「はじめまして!」
「驚きましたでしょ?〜女性の神父〜」
「はい…!」
「この地方の神父は今まで全員女性なんです!かくかくしかじかあったら急に女性が…みたいな感じで〜」
「そのような歴史があるのですね…!!」
目を輝かせて話を聞くイレフ。
「そうなんです!今度歴史について話してあげますね。」
教会の鐘が鳴る。
「今はもう遅いからこれから使う家でもうお休みになられてください。こちらが皆さまが使われる家の鍵とその場所の地図です。」
鍵を手渡された。
「おやすみなさい。また何かあったら頼ってください!!」
微笑みながら手を振って見送ってくれた。
皆修行者は町中にある家を使って修行の期間を過ごす。一人用の家もあればグループ用の家が点々としている。一箇所に集中はしておらず、何軒かに一つは修行のための家だ。
スピカたちの家は教会の大通りを通り、家族や恋人たちの家をくぐり抜けた暖かく懐かしさを感じる木造の家だ。
「俺の家みたいだな〜」
「そうですね。ガイトのお母さんのビーフシチューの匂いがしてきそうです。」
ガイトとイレフが話しながら家の中に入り、その後に続く。
家の中は一階が台所、浴室などがあり、二階に部屋がある。
「4つあるな!」
「うん!ということは〜」
「「「「じゃんけんだ!!!!」」」」
部屋決めじゃんけん大会が始まった。意外とすぐに決まった。
「うぅ…。遠すぎる…」
「遠くないよ。みんなの部屋とは隣り合ってるよ。ただ階段がみんなより少しだけ遠いだけ」
「遠いじゃんー!」
「ははっ。」
それぞれの部屋に荷物を置き、部屋をなんとなく整える
「また明日整えようぜ!おやすみ!」
「うん!おやすみ〜」
「おやすみ!」
「おやすみなさい!」
ファイヤシルバー地方に来て最初の月がスピカたちを照らす。
第4話「再出発」(終)
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