第16話
作られた世界に一瞬飛ばされて警戒したところを狙撃。和野の行動によって理解できずに立っていた酒井
(狙撃されたって事・・・?それに)
目の前で頭の前に拳銃に向けている和野は笑って言う
「ゲーマーオーバーだ。酒井」
とまるで自分が敗北したように聞こえた。いや、事実かもしれないが一瞬で決着がつくとは思わなかった。自身の能力をフル稼働して襲撃に警戒していたのに能力『幻(まぼろし)』による空間操作などの防御体制はしていたのに貫通された。
どうやって能力による防御を貫通したのか
(能力による攻撃?狙撃されたのは分かったけど魔法の付与をした攻撃は無効化できる。やはり)
能力を使った攻撃。魔法無効の酒井に通じるほどの狙撃ができると言うのならそれは確定したもの。問題なのはどうやって攻撃したのかだ。
少なくても半径5km内にはいなかったのは理解できたがそれ以上の感知をするには魔力感知を使用しないといけない。
それなのに攻撃をしたのならば魔力感知を使用していないことになるだろう。魔力感知でも感知出来ないほどの隠密をしていた酒井に攻撃できたのならそれが答えだ
「茫然していて反応できないか。それか考え事をしているのか・・・それは俺にはどうでもいいことだが一つ教えてやろう。
お前の能力を貫通したのは俺の能力による狙撃だ。空間系と結界系にやる防御で対策していたようだが俺の前では意味がないんだよ」
和野の能力 『暗殺神』
神系能力の一つであり、誰も知らない能力。皆が知っている情報は狙撃系の能力であると思っている。拳銃を使っているのはただ、能力を使用しての攻撃で楽なだけ
『暗殺神』の力は
・絶対狙撃
・絶対防御貫通
・強制能力解除
・世界系
・隠密
と魔法使いどころか能力者の天敵と呼べる能力だ。酒井どころか始原や原初でも初見殺しは可能だろう。能力者ですら対応はできない。能力の説明をしよう
・絶対狙撃
避けても被弾するように追跡もできるので転移魔法を使用しても意味はない。避けようと動いても追跡してくる。追跡できる範囲には制限はない
・絶対防御貫通
結界を使用しても空間を支配して狙撃されないように対策しても貫通する。魔法に対しても貫通する。さらに発動している魔法を消滅させることも可能。魔法でも能力でも防ぐことはできない厄介な力。これを防ぐよりも回復魔法ですぐに回復したほうがいいだろう
・強制能力解除
使用している能力を解除する。物理攻撃をすると攻撃の対象の能力を強制的に解除される。さらに、神霊武装も解除することが可能。複数能力神霊武装までも解除できるため能力者の強弱関係なく、能力の解除が可能
・世界系
自分が望む世界を構築する。この力を持っている者は何人もいるので他の人とは違うことはない。それなりの技量がないと対象を指定した発動はできない。練習あるのみ
・隠密
影移動や魔力隠蔽など偽装工作や暗殺特化の力を使える。また、情報収集に利用できる
これが和野が持つ『暗殺神』の力。強すぎるので自分の力を一部にしか使わないようにしていたほどだ。本気を出す相手がいないのではなく、強すぎる能力に頼り続けるわけにはいかないからだ。
最初から力の制限をせずにしていた場合、入学時点でSランク5位くらいは余裕になっていただろう。実力者として使える能力の権限が異常なのだ。
複数の能力をまるで一つにしたような能力。酒井程度では勝てないどころか相手にならないだろう
「俺の能力の名は教えないがお前では俺の相手にすらならない。勝つ気で挑んだのなら教えておく
お前では俺に勝てないよ。出直すのならば最低でもその能力で世界系の力でも目覚めるんだな」
「・・・無理でしょ。世界系を簡単のように使用するのは一部の能力者だけなのよ。・・・降参するわ。あなたに勝つのは無理ね」
和野の能力の一部だけでも相手にならないと思った酒井は降参と白旗を振る。勝てないと判断して敗北を認めた。
これ以上戦闘をすることはできたが相性が最悪なので戦闘を続けたとしても負ける未来しか見えないと判断した
相性が最悪なのは酒井だけではないが和野が全力を出していないので観戦者らもどんな能力なのか完全に分かっているわけではないが今回は仕方ないだろう。
能力者の天敵と呼べる能力を持つ和野に勝てる学生はトップクラスの人達しかいないから
「自分から挑んだのにもう降参か。つまらぬ」
やれやれと首を振る和野はいつも通りの戦闘だったと少し不機嫌になる。
Sランク同士の戦闘ならもっと楽しめると考えていたのだが予想内の結果だったので楽しくなかったのだ。片頭痛が起きている中で戦闘を続けても勝てたと言えるほど
酒井が降参したことにより、戦いの結果が確定した
『降参されたことでこの戦いの勝者は和野三郎!!!!』
『うお!!!!!』
勝者が決定した。和野が勝利したことで順位変動はなし。彼の戦闘はこうして終わりを告げた
ーーーーー
「やれやれ、これで自由にできる」
首をポキポキと鳴らす和野は学生寮の自分の部屋へと戻ってきた。これなら誰かに見られることはない。リュックを片付けた後、ある人物に報告を始めた
『酒井霞との戦闘は終わりました。これより、引き続き対象の監視を続けます』
突然の敬語、相手が誰なのか分からないが彼程の実力者を従えているのかあるいは協力関係なのかそれはまだ知らない
『そうか・・・ならば引き続きよろしく。お前が"この世界"にいるとされる『神の使い』の監視を。お前の配下も現在の任務を続けるように』
男性の声が聞こえる。彼にしか聞こえないようになっているため、周りに人がいたとしても何を話しているのか分からないだろう。『神の使い』それは誰のことを指すのか
海野流星の監視。それを『和野三郎』にかけられた任務だ。そう、『和野三郎』は偽名であり、本名はーーーー
『了、分かりました。『神の使い』の存在である海野流星の監視は続けます』
『ああ、それでいい。それで、海野流星はどんな感じだ?何か気づいた情報はあるか?』
『・・・あります。彼についてーーー』
和野が持っている海野流星についての情報を伝えると男性は言う
『・・・なるほどな。そうか・・・あの男の子孫なのか・・・だから、『神の使い』が生まれたのか・・・それかまた別の血縁の遺伝もあるか・・・
能力は魂に付与されている世界だから能力に関しては関係ないからかなり面倒だな。他に何かあるか?』
男性は和野に尋ねると
『そうですね・・・それともう一つ』
『?』
何か思ったのことを男性に聞く
『あの方についてですがどうしましょうか?警察として活躍していますがあの方を元の世界に戻すことはしないのでしょうか?』
あの方とは誰のことだろうか。警察ということは警察官の誰のことを指している
『ああ・・・好きにしておけ。俺の権限で帰るようにはできるが今は面倒なことが起きているみたいだろう?原初?だったか、そいつらが何か企てているみたいだから"元の世界"に帰るのは数年後になるかそれか・・・
いや、いい。とにかく、あの人については好きにしておくんだ。別に敵対しているわけではないのでな』
その言葉に頷く和野
『そうですか・・・蘆屋紅に関してはどうしますか?あの苗字からして・・・』
『それは理解している。本家ではなく、分家の人間だ。あの人がやっているなら問題ないだろう。こっちについては俺がやっておく。問題はないから心配は不要だ』
蘆屋紅の処分に関しては"あの人"に任せると男性は和野に伝えた。男性の判断に反論をしない和野
『了、では報告はこれ以上ありません』
『分かった。最後に一つ』
『?』
最後に何を言われるのか分からない和野は男性の言葉を待つ
『・・・能力は使用したか?』
『・・・"この世界"の能力なら使いました』
『そうか・・・分かった。ではまた、いい報告が聞けるように頑張ってくれ』
『思念伝達』を切る
「・・・ふ〜う、続けて仕事・・・まあ、問題ないか」
ニヤリと笑った
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