第7話 番外編 久我道長3
「やってみるんだな」
並の能力者では視認することすることが出来ない速度を出して、坂上の目の前に来て超近距離魔法を発動させる
爆発系魔法であるがその火力は能力者を気絶するほどの火力だ。魔法使いとして長年魔法を磨き続けたゼルファの威力は桁違い。いくら能力を発動させたとしても近距離からの高火力の魔法の前では
「へえ・・・ダメージなしか」
煙幕が晴れると無傷の坂上が立っていた。目の前に現れて魔法を使われたので少し下がったがそれでもダメージを喰らってもおかしくない魔法に対して無傷だったのは彼の防御力の高さであろう
能力による魔法攻撃によるダメージを減らしたのか、たんなる防御力の高さなのかは分からないが過去に戦ったことがある能力者達をこの魔法で倒したゼルファにとっては面白みのある能力者と認識する。
「魔法無効か?」
魔法が通じなかったので坂上に問う。能力による魔法攻撃ダメージを減らしたと考えられるが魔法向こうにも同じようなことがあるため気になって質問する
その返事は
「能力による魔法無効ではない」
素直に答えてくれた坂上。能力の発動による魔法無効ではないなら・・・
特異体質による魔法無効。魔法使いにとって天敵の一つである特異体質。ゼルファは初めて見たが日本には過去にいた記録があるため珍しいが前例がないわけではない
「特異体質か。まさか魔法無効できる体質を持つ能力者に会えるとはなぁ〜」
不利なのはゼルファ側である。魔法特化の人間が魔法無効の人間に遭遇しれば負ける未来しか見えない。ただ、それは互いの力量差があれば覆る話
そんな話が現実で通じるのかは実力と運次第である
「戦いはまだ始まったばかりだが負けを認めるか?」
天敵と言える力を持つ人間を相手に原初が負けを認めるとは思えないが一応聞くと
「残念だな、魔法無効程度で俺が止まるとは思わないこと。魔法が使えないだけで負けを認めるのは三流の考えだ。一流とは魔法だけではなく、体術、頭脳、運を鍛えてこそ、トップへの道がある。それを数百年前から知っている我々がここで諦めると思うか?」
能力を持っていないならそれ以外の分野を鍛えればいい。魔法を依存するのは三流の考えと思っているゼルファ
「ないな」
坂上は笑う。その返事を聞いたゼルファは笑ってその後に坂上を睨む
「ってわけで俺はまだ戦闘を続ける」
体術による戦闘。魔力を魔法で身体能力を強化を限界まで倍率を引き上げる。それを見た坂上は少し驚く顔をきた
ゼルファが上げた身体力上昇魔法は能力者でも耐えられるのか怪しいくらいのレベル。本来ならその倍率まで上がると肉体に悲鳴が鳴り、強制解除が起きてしまう可能性があるほどの
魔法が一時的に使えないというデメリットまであるのにそれを使うということは
確実に自分を殺しにきている
と坂上は本能で感じたことに疑問を抱かない。見えているのは本能で感じたことと一致する。危険すぎる魔法の行使は使用者を殺してしまう可能性がある。魔法の使用に限界があるのは個人差はあるが・・・
「ゲームを始めようではないか」
先ほどとは比べ物にならないほどの速度を出して坂上を攻撃する
(!物理法則を無視してきたな・・・面倒な奴め)
光の速度並みのスピードに岩盤を砕けるのではないかと言える程の攻撃力。原初が身体能力のみ魔力を大量に使用しての結果がこれだ。光の速度どころかそれ以上になるかもしれない
いくら実力のある坂上でも能力を発動しなかったら死んでいたーいや、気絶で済むレベルまでのダメージはあっただろう。肉体の強度がどれくらいなのか分からないが今の攻撃を喰らっても生きている自身はあった
それくらい規格外な実力を持つのが坂上四季である。そもそも、魔法組合の創立時代に生きていたとされる原初を相手に単独で戦闘に成立している時点でおかしいのは言うまでもない
「俺の攻撃を受けても生き残るとはな」
ゼルファは予想外の結果に不機嫌になる。今の技で死ぬことはなくても大ダメージは入っていたと思っていたからだ。
自信過剰のところもあるが自身が持つ魔力のほとんどを身体能力で強化させて物理法則を無視するような攻撃をしたのに無傷なのだ。不機嫌になってもおかしくない
異常な耐久力を持つ坂上を倒すには時間がかかると考える。身体能力強化でも倒しきれなかったら目的の失敗になるだろう。
そうなればここ100年成功率100%のゼルファにとって大きな失敗になる。それだけは嫌だと考えない。世の中、上手くいかないのはとっくの昔から理解しているからだ
面倒であるとゼルファは次のことを考える。目の前の敵を倒すのが今やるべきことだ。正直に言うと日本にこれほどまでの実力者がまだいたことに驚きだ。
最高権力者や『髪に近い存在』の候補者以外は大した敵はいないと思っていたのが理由である。
80年ほど前の事件で起きていた始まりの能力者の暴走の事件でも最高権力者によって事件は解決した。本来なら成功するはずの事件を覇王がやらかしたせいであるが覇王が参加していない今回の計画なら成功すると甘い考えをしていたのは事実だ。
覇王と協力して任務を行うなんてしたくなかったゼルファは任務達成率は高い
簡単に言うと覇王が参加しなかったら原初達は任務を達成できるということだ。悲しき事実であるがそれが現実だ。
実際、任務成功率が高い『黒』が失敗する任務は覇王との協力任務が9割と覇王と協力したら失敗しますと言われても反論ができない結果になっている
だから何?と思われるがそれは
覇王に邪魔をされずに自由に行動できる原初がどれくらいやばいのか
「一撃だけで負けると?」
無傷の坂上は笑うとゼルファは無表情に答える
「一撃で駄目なら何度も攻撃するのみ。一撃で終わる戦いなんぞつまらないからな」
光の速度を超える攻撃をする。坂上は一撃喰らった時の速度がどれくらいなのか分からなかったが2度も同じことをしないために軍旗を召喚する
「!(軍旗・・・?)」
軍旗を出してきたことに困惑するゼルファ。軍旗を出した坂上の強さは変わるのか
旗を振る坂上。ゼルファは避けて攻撃力の高い攻撃をするが避けられる。先ほどまでギリギリに避けていた坂上が簡単に避けるようになって驚く
坂上が持っている軍旗は自身と味方のステータスを上昇させると一撃喰らった攻撃が次どこに来るのか未来予知できる。ただの軍旗ではなく、能力を付与して製造する能力者によって作られた高級な武器だ
海野の『未来予知』の下位互換で天野の『全能力強化』の下位互換でもあるがメリットとして個人だけではなく、自分の味方まで強化する
坂上が軍旗を戦闘時に持つのはそういう理由だからだ。個人での任務などは使わないが今の現状からして住民も強化させて避難の時間を短縮とゼルファを除いた2人の原初と対峙している仲間達の力を強化させることで最小限の被害を抑えられると考えたからだ。
未来予知が限定なものであるし、いきなり未来が見えるようになった人たちが困惑してしまうなどの危険性はあるが使わないよりはまだマシなのだ
「能力ではないのか・・・」
能力ではなく、軍旗に付与されている能力を使っている坂上に少し残念そうに言う。だが、ここで倒さないと一緒に来ていた仲間の邪魔になる。早めに倒したいが坂上の能力が判明していない中で倒されるのか分からない
まあ、そんな問題なんぞ
「?」
坂上はゼルファを見る。何やら笑っているのでやばい人だと思った。というより、突然笑ったので何があったのか怖い感じである
(何かする気だなこいつ・・・)
警戒して少し距離を離れる坂上
その瞬間ー腹に大きな穴が空いた
「!?ゲフッ」
真っ二つにされてもおかしくない大きな穴が空いて倒れる坂上。一瞬のことで何が起きたのか理解できなかった
というより、攻撃されたと気付いたのは攻撃された後。ということは光の速度を超える攻撃を未来予知で見ることができる坂上に光を超える速度のさらに早い速度で攻撃したことになる
「お前の敗因は俺を早く倒さなかったこと。避けるだけに集中したようで言わせてもらうが俺達の前でそんな自殺行為をするようなことをしないのが良かったがそれはもしもの話だな」
ゼルファは倒れている坂上から視界を別のところに移す
すでに『黄』と『紫』によって対峙していた能力者と魔法使い達が倒されていた。不利なのは坂上側
軍旗の能力を使った程度では原初に勝てない。そもそも、能力を使った態度で原初に勝てない。例外な人間がいたとしてもそれはいたに過ぎない。その場にそのような人物がいない限りその例外な者達以外は原初に負ける
ゼルファは連れてきた2人の実力を見誤っていたわけではなく、最高権力者がすでに到着して戦闘している時に強化されるのを阻止するために早めに倒したいだけだった。原初側に被害を出さないために
「あとは目的である田中麗奈を殺害するだけだな」
「待て・・・まだ俺は・・・」
立ちあがろうとする坂上にため息する。即死してもおかしくない重症で立ち上がろうとするからだ
「人間として死んでおけばいいものを・・・まあ、お前の力には興味があったし、死んでほしくないのはある。だが、それが出来ないのが現実だ。恨むなら俺ではなく、自分の甘い判断に恨むんだな」
能力者の世界を作る目的があるゼルファにとって坂上を殺すということはしたくないー能力者の殺害は目的を達成した世界で人数が減っていることを防ぐためでもあるし、少しでも能力者が幸せに過ごしてほしいと願っているから・・・
多少の犠牲は仕方ないとしてもなるべく殺したくない
それがゼルファの本音である。残念ながらそれが通用するほど甘い世界ではないのがこの世界であるのは理解している。嫌々と坂上を見て
「さらばだ」
坂上の頭を潰して殺害
坂上四季は死亡した
坂上を殺したことで罪悪感が生まれると思ったが全く生まれない。人を殺しすぎたゼルファにとって今更人を殺したところで何も湧かない
死体から別の場所に体を動かす
坂上の子供達が逃げている方向に向けてまたニヤリと笑った
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