第4話 見上げたら

月が黄色く光って。

貴方の顔を照らしていた。


「ごめん・・・」

呟きが一言、漏れた。


「ずるい・・・」

背中越しに抱きしめる腕に爪を立てる。


「いてっ・・・」

背中越しに聞こえる声にクスッとした。


振り返り、貴方を見た。

貴方の髪もずぶ濡れで。

私を探し回っていたのが分かる。


「ばか・・・」

嬉しさを隠すように囁いた。


「ごめん・・・」

もう一度、貴方が呟いた。


「ばか・・・」

もう一度、私が囁いた。


そして。

目を閉じて。

囁くのです。


「キス、して・・・」

と。


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